- はじめに
- 1章 ビジョントレーニングを始めるための基礎知識
- 1 視機能・視覚認知とは
- 2 アセスメントに基づいたトレーニング
- 3 ビジョントレーニングと組み合わせるべき合理的配慮
- 2章 家庭・教室でできる〈プチ〉ビジョントレーニング
- 1 ビジョントレーニングのアイデア
- 1 くるくるチャイムT
- 2 くるくるチャイムU
- 3 くるくるチャイムV
- 4 ぬいぐるみをつかまえようT
- 5 ぬいぐるみをつかまえようU
- 6 ぬいぐるみをつかまえようV
- 7 目のたいそうゆっくり
- 8 目のたいそうはやい
- 9 ビー玉迷路T
- 10 ビー玉迷路U
- 11 ビー玉迷路V
- 12 ボールキャッチT
- 13 ボールキャッチU
- 14 ボールキャッチV
- 15 ボールキャッチW
- 16 ボールキャッチX
- 17 バランスゲームT
- 18 バランスゲームU
- 19 バランスゲームV
- 20 いちごケーキT
- 21 いちごケーキU
- 22 いちごケーキV
- 23 スラップタップT
- 24 スラップタップU
- 25 スラップタップV
- 26 積木移動T
- 27 積木移動U
- 28 積木移動V
- 29 ペグボードT
- 30 ペグボードU
- 31 ペグボードV
- 32 洗濯ばさみT
- 33 洗濯ばさみU
- 34 洗濯ばさみV
- 35 くるくるボードT
- 36 くるくるボードU
- 37 トラッキング迷路
- 38 アイロンビーズすくいT
- 39 アイロンビーズすくいU
- 40 アイロンビーズすくいV
- 41 積木模倣T
- 42 積木模倣U
- 43 積木模倣V
- 44 積木模倣W
- 45 タングラムT
- 46 タングラムU
- 47 タングラムV
- 48 立体パズルT
- 49 立体パズルU
- 50 立体パズルV
- 51 ジオボードT
- 52 ジオボードU
- 53 ジオボードV
- *ジオボードで作成する形の難易度について
- 54 かくれたかたち
- 55 電車を追いかけようT
- 56 電車を追いかけようU
- 57 電車を追いかけようV
- 58 コラムサッケード
- 59 見くらべレース
- 60 ぐるぐる迷路
- 61 〇×数字レースT・U
- 62 マスコピー
- 63 点つなぎT
- 64 点つなぎU
- 65 パソコンを使ったトレーニング
- 2 ビジョントレーニングの進め方
- 3章 苦手さのある子どもへのビジョントレーニング指導事例
- 1 黒板・教科書の内容を書き写すのが苦手だったGちゃん
- 2 漢字を覚えるのが苦手だったFくん
- 3 工作が苦手だったCくん
- 4 ノートをきれいに書くのが苦手だったSさん
- 〈参考資料〉
- 見る力に関するチェックリスト
- スラップタップT・U・V見本用紙
- コラムサッケード見本用紙
はじめに
1999年から2002年までアメリカの大学に留学し,ビジョントレーニングを中心にオプトメトリーという学問と実践を学んできました。当時から,ビジョントレーニングは発達障害,高次脳機能障害,スポーツ選手の視機能・視覚認知のサポートを行う実践としてアメリカを中心に世界各国に広がっていました。アメリカでは,国家資格であるオプトメトリストとCollege of Optometrists in Vision Developmentという学会の認定資格であるVision Therapistによって,ビジョントレーニングはさらなる発展をみせています。
帰国した当時は,何人かのオプトメトリストが先進的な取り組みをされていましたが,まだまだビジョントレーニングは聞き慣れない言葉でした。それから20年近く経過し,特に小児の領域でビジョントレーニングを実践する専門家が増えてきました。それに伴い,多くの書籍やトレーニング教材,パソコンなどのビジョントレーニングソフトが出版されるようになりました。ビジョンケアーの重要性を伝える専門家の1人として感慨深いものがあります。しかし,その一方で,ビジョントレーニングの本質よりも,その手法や道具が先行しているようにも感じられます。それに対する批判的な言葉も耳にすることがあります。
このような現状を踏まえ,子どもに対するビジョントレーニングの実践手法を集約し,その本質や子どもの特性に応じた実践の仕方を整理する必要があると考えました。本書は,『特別支援教育の実践情報』(明治図書,165〜176)で12回連載された「教室でできる〈プチ〉ビジョントレーニング」を基に,著者3人が試行錯誤しながら取り組んできた実践のまとめを,ビジョントレーニングの専門家以外でも分かりやすいようにとまとめたものです。また,本書の内容は,細かなトレーニング道具や技術だけでなく,対象となる子どもたちに取り組みやすくする工夫,意欲を引き出すための手法をできるだけお伝えできるように心がけました。
本書が,日本のビジョントレーニングのより広く,深い発展につながり,子どもたちの笑顔を少しでも増やすお手伝いになることを期待しています。
最後に,子どもたちやご家族と関わる中で経験し,教えていただいたことが,私たちの財産であり,本書の基礎になっています。これまで関わらせていただいた皆様に感謝すると共に,子どもたちのよりよい成長の一助となることを望んでいます。
2018年1月 /奥村 智人
ビジョントレーニングに興味を持っているならば一度目を通してほしい一冊である。