生活指導 2011年1月号
つながり支え合う教師たち

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生活指導 2011年1月号つながり支え合う教師たち

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2010年12月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

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特集 つながり支え合う教師たち
特集のことば
つながり支え合う教師たち
高橋 英児
<実践1>同僚として歩むとは?―試行錯誤の二年間
北川 進
<実践2>たたかう職場づくりから支え合う職場づくりへ
栗城 利光
<実践3>青年教員を支え、自立できるつながりを目指して
秦 和紀
<分析論文>「間」をつくり、「オアシス」を生みだす
上木 洋一
<論文>教師が教師として生きることを励まし支え合う学校を
植松 保信
第2特集 こんな学級会をひらこう
<小・報告>子どもたちと一緒に楽しい活動をつくっていこう
若草 いずみ
<小・報告>集団をより高めるために
佐藤 晋也
<中・報告>身の周りのことが話し合える―そんな学級会を
菅原 浩敬
<中・報告.学級総会の準備で力を入れたいこと
小室 貴
《解説》「ひと」と「ひと」、「ひと」と「活動」をつなぎ合わせて高め合う学級会
志賀 廣夫
今月のメッセージ
変わらぬ実践原則と変化し続ける実践の視点
高木 安夫
私の授業づくり (第22回)
小学校〈道徳〉/子どもの心を読み解きながら〜役割演技に乗ってきた星太と冬(小学校三年の実践)〜
上田 すみこ
中学校〈道徳〉/“We can stand.”―共生〜ともに生きる社会〜をめざす―
赤星 裕子
実践の広場
子どもの生活・文化・居場所
楽しい給食時間に思うこと
苅谷 真由美
子どもをつなぐ活動・行事
子どもも教師も楽しめる行事に
河野 茂
いきいき部活・クラブ
有志でつくる「バンド活動」サークル
中沢 照夫
手をつなぐ―教師・親・地域の人々
学校と地域の架け橋に〜学校応援団の活動〜
山本 敦子
私が教師を続けるわけ
「否定の否定の向こうに肯定がある」
澤田 好江
案内板 集会・学習会のお知らせ
〈発達障害〉の理解と支援―学級・学校・地域を育てる (第10回)
暮らしの土台を築く
間宮 正幸
教育情報
地方に生きる若年同性愛男性の学校体験
杉田 真衣
読書案内
『歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ』
子安 潤
「新指標」採択についての報告
大和久 勝
特別支援学校の現在と課題 (第2回)
つくりだす可能性を求めて(2)
小室 友紀子
読者の声
11月号を読んで
シリーズ/各地の実践
福島
大谷 敏彰
〜立ち上がれ、白豚君―不登校児Y君への共同の取り組み〜
研究部だより
安島 文男
編集室だより
全生研編集部
編集後記
高橋 英児

今月のメッセージ

変わらぬ実践原則と変化し続ける実践の視点

京都府・中学校 高木 安夫


1970年代後半から80年代前半の校内暴力期に、私は青年教師時代を過ごした。

教師になって3年が過ぎ、一年生から受けもった生徒たちを卒業させ、教師としての自信も感じ始めていたときに、校内暴力期が訪れた。

生徒の非行問題が吹き荒れ、他校生徒と結びついての問題行動が二年生の後半から少しずつ発生しはじめ、春休み、夏休みのピークへとエスカレートした。指導と問題行動の追いかけあいから、最後はあきらめかける自分との闘いの日々であった。

「教師を辞めることになったとしても……」そんな決意で子どたちに向かい合ったことも幾度となくあった。私を最後まであきらめないで向き合わせてくれたのは、彼らが鑑別機関にお世話になって、その鑑別結果が「めずらしいことに、この子たちには教師への敵意はない」ということであると知ったことが大きかった。この調査官の鑑別結果の報告は、彼らの中に『もう一人の自分』が確かに存在することを確信させてくれ、その後「どんな状況の生徒も『排除はしない』」という私の実践の原点となったのである。

あれから約30年、毎年大きな課題を抱えた生徒をクラスに含みながら実践を続けてきた。よくもまあ、マンネリに陥らないものだと思われるかも知れない。しかし生徒の抱える課題は変化し続ける。実践も変化し続ける。

校内暴力期頃の生徒は、親の管理を突破しながら非行問題行動を繰り返していた。お手上げ状態の親にとって、私のような教師はありがたく思ってもらうことはあれ、文句を言われた覚えはない。非行問題行動を通じて仲間を獲得し、そして親からの精神的自立を獲得していく筋道に、私たち教師の指導の光をあてればよかった。

最近は指導傾向の変化を感じ始めている。子どもの自立を親自身が阻んでいることが多い。親の判断を絶対視させることが指導と思いこんでいる節がある。そんな親のもとで、子どもは親に服従する。服従させる背景にあるのは、「暴力」「子捨て」「心身症的親の変化」である。子どもはこれらの親の行動や変化に過敏に反応し、親の前では絶対服従となる。しかし、この親子関係は、子どもの行動の乱れとして現れる。学校での生活や友だち関係の変化の中で、様々な問題が噴出することになる。

このときこれらの親のとる行動は、子どもに対する自分の管理力を強化する意図を裏に含んだものになる。教師の指導にクレームをつけて子どもを守ろうとするのは、子どもに対する親の権威を高めるのにもってこいの場面なのだ。子どもの指導で悩みながら教師に相談をもちかける親の中には、自分の思いを教師に代弁させようとする(無意識ではあるが)人もいる。

最近の問題行動への指導では、これらの親に対して生徒が真っ正面から乗り越えていくことが重要な指導場面となっている。親からの捨てられ恐怖≠フために、親の前で100%で対応してしまう隆信に、「出来ないことを出来るというな!」と迫る。進路決定において、親の前で自分の希望を言い出せない聖次に、「お前、とおちゃんこわいにゃろ!」と迫る。これまでの親子関係を突き崩す勇気を出すよう応援することが、実践の重要な局面になっている。

「子どもの側に立つ」「共感から共闘的なヘゲモニーを」―原則は変わらないが、子ども自身が向き合うものが、これまでの親子関係とか、親の生き方・考え方となっている、と感じている。

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