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次期学習指導要領改訂―評価の観点の見直し
教育zine編集部大田和
2017/1/31 掲載
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  • 学習指導要領・教育課程

 先月21日、中央教育審議会から次期学習指導要領の答申が発表されました。今回の学習指導要領の改訂では、小学校での英語の教科化や「アクティブ・ラーニング」、プログラミング教育などが注目されていますが、ここでは評価の観点の見直しについて取り上げます。

これまでの評価の観点

 現行の学習指導要領では、教育基本法等が定める学力の3つの要素に基づいて、下記の4つの評価の観点が設定されています。

  1. 基礎的・基本的な知識(や概念)・技能の習得…「知識・理解」「技能」
  2. 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力表現力等…「思考・判断・表現」
  3. 主体的に学習に取り組む態度…「関心・意欲・態度」

これらの評価の観点が、今回の改訂でどのように見直されるのでしょうか。

新指導要領での評価の観点

 中央教育審議会は、次期学習指導要領の答申の中で、今回の改訂におけるすべての教科に共通する資質・能力の柱として、下記の3つの要素を挙げています。

  1. 何を理解しているか、何ができるか(「知識・技能」の習得)
  2. 理解していること・できることをどう使うか(「思考力・判断力・表現力等」の育成)
  3. どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(「学びに向かう力・人間性等」の涵養)

この3つの要素は、前述の教育基本法等が定める学力の3つの要素とも共通点が見られます。
 そして、今回の改訂では、教育目標や内容をこの3つの要素に基づいて見直され、評価の観点においても、これまでよりも目標に準拠した評価の実質化をめざすことから、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点に再編されることになりました。今までの評価の観点との違いは、「知識」と「技能」の2つの観点が「知識・技能」という1つの観点にまとめられたこと、現行の「関心・意欲・態度」が「主体的に学習に取り組む態度」という観点に改められたことです。

 違いの1つである、「知識」と「技能」の観点が「知識・技能」という1つの観点になった点については、今まで「知識」と「技能」という2つの観点で作られていた評価教材がどのように変化するのか、今後注目されることと思います。

 もう1つの違いである、「主体的に学習に取り組む態度」で求められている評価の視点は、現行の「関心・意欲・態度」と本来的には同じ趣旨とされています。しかし、「関心・意欲・態度」の観点では、授業での挙手やノートなどの形式的な活動が評価の視点と誤解が生まれやすいという問題点があり、より子どもが見通しをもって学習に取り組む態度を適切に評価できるよう、観点が再設定されました。この観点の評価にあたっては、子どもが主体的に学習に取り組む環境を整備する必要があり、教師側の問題として、次期学習指導要領の目玉である「アクティブ・ラーニング」の面からの学習や指導方法の改善も求められています。

 学校教育において、子どもたちの学習状況を評価することは必要な過程であり、その過程で評価の観点は重要な基準となります。子どもの主体的な学びを重視する今回の改訂において、以前から、初等中等教育における「アクティブ・ラーニング」的指導の難しさやその成果の評価の難しさが指摘されています。その中で、「主体的に学習に取り組む態度」の観点が実際どのように運用されていくのか、今後の実践に注目していきたいと思います。

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