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教職大学院は不人気!? 半数で定員割れの現状
教育zine編集部阿部
2012/8/31 掲載

 滋賀県大津市のいじめ事件に関連して、教員の質の向上を求める声が高まる中、高度な専門的職業能力をもつ人材の養成を目指して創設された専門職大学院の1つで、高い専門性を持つ教員の養成を目指す教職大学院が苦境に立たされている。27日の読売新聞の記事によると、2012年度の入学状況は、全国25校のうち13校で定員割れとなっていることが報道された。

 文部科学省の中央教育審議会は、教職大学院との連携を図りつつ、教員の養成期間を現在の4年から6年とする答申、教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(審議のまとめ)(PDF)をまとめているが、実現に向けては課題が多く残されている状況だ。

 教育現場で起きている様々な問題に対処できる高い専門性を持つ教員を養成するため2008年度に創設された教職大学院。この教職大学院で定員割れが生じている背景には、学生が修了しても教員採用試験での優遇措置がほとんど無いことや、現役の教員が修了しても、その後の待遇などが変わらないことがあげられている。学生にとっては学費を払って教職大学院に進んでも、採用試験での優遇措置が無ければ進学する意義が見出しにくい現状がある。現役の教員であっても、忙しい学校現場を離れて大学院で学んでも、待遇が変わらなければメリットは見出しにくく、そもそも、大学院で学ぶことによって実践的な指導力が身に付くということに懐疑的な人もいる。
 しかし、文部科学省によると、教職大学院の修了者の満足度は高い、という声が多い状況とのこと。であれば、教職大学院の利点を知ってもらい、学んでもらうためにも、修了者への優遇措置を講じることや、教育委員会と連携して現役の教員が学びやすい仕組みを整えること、学生や教員が学びたいと思うようなカリキュラムを組み、教職大学院で学ぶことが本当に必要だと思えるように周知することがより重要になってくるだろう。

 教育現場を取り巻く状況が厳しさを増す中、教員に求められる要求に応えるため、教職大学院を含めた教員養成のありかたは変化を求められており、これから教員を目指す学生や現役の教員が活用しやすい、教員としての能力の向上を図れる仕組みの整備が必要となってくるだろう。

コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2012/9/7 20:55:49
    待遇が変わらない状況で人気が出るはずがない。有給の現職派遣なら行きたい者はいるかもしれないが。当たり前のこと。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2012/9/10 23:03:01
     現職教員にとって、高い学費を払い、多忙な学校現場を離れ大学院で学ぶことは、自己満足のいきに過ぎない。現在は、教職大学院に行き後悔しています。カリキュラムの内容も実践的ではありません。教員の免許更新同様、経費がかかりすぎることと、目指しているものが何なのか、曖昧なままでは現状は仕方がないでしょう。
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