著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
アクティブ・ラーニングを生かして「本当の学力」を育てる授業をつくり出そう
秋田大学教育文化学部教授阿部 昇
2016/10/7 掲載

阿部 昇あべ のぼる

秋田大学教育文化学部教授。専門は国語科教育学、授業研究。1954年生まれ。茗溪学園中学校・高等学校教諭、秋田大学教育文化学部助教授を経て現職。

―書名にもある「探究型」授業は、今、なぜ必要なのでしょうか。アクティブ・ラーニングの視点と合わせてご紹介ください。

 探究型授業は、子どもが対話をしながら、新しい課題に向かって試行錯誤を繰り返すものです。

「学習課題→一人思考→グループの話し合い→学級全体の話し合い→振り返り」

などが代表的なものです。これはアクティブ・ラーニングの授業そのものです。その中で、子どもは、質の高いスキルや方法、主体的判断力、批判的思考力、社会的実践力などを身につけていきます。

―アクティブ・ラーニングが「活動」だけのものにならないように教師はどのようなことに気をつけるべきしょうか。

 何より、その学習活動・言語活動を通して、子どもたちにどういう力を育てていくかという目標・ねらいを具体的にもつことが大切です。「ごんの心情を読みとる」「比例の問題が解ける」といった目標・ねらいでは、何のためのアクティブ・ラーニングかわかりません。それを通してどういう国語の力、算数・数学の力、社会科の力を育てるかを、どこまで先生が意識できるかが分かれ道です。

―第2章では、「あたらしい学力」(試案)として、4つの力が紹介されています。こちらはどのような観点で設定されたものでしょうか。簡単にご紹介ください。

 これまで示されてきた様々な学力モデルを生かしながら、「要素的な力」「複合的な力」「主体的判断に関わる力」「社会的実践に関わる力」に分類しました。これを指標に、それぞれの教科ごとに具体的な学力の体系・系統を構築してほしいと思います。たとえば国語科では「要素的な力」である「知識・スキル」でさえ、未だに曖昧です。今回の論議をきっかけに学力の具体の再構築をしてほしいと思います。

―本書には理論編と実践編として国語や算数、社会科などの授業づくりについて詳しく紹介されています。本当の学力をつける授業をするために、それぞれの章をどのように活用してほしいと思われますか。

 小中高の先生方は、まずは現在の教科書教材をどう生かせるか考えながら、アクティブ・ラーニングに取り組んでほしいと思います。ただし、これまでの目標・ねらいより一歩先に進んだものを到達点として設定してほしい。同時に教科書以外のものも教材として開発してほしいと思います。小学校高学年でも「グラフ理論」や「枕草子」を深く探究できます。

―最後に全国の先生方に一言お願いいたします。

 探究型授業アクティブ・ラーニングを生かした授業は、今まで以上に深い教材研究が求められます。また、より周到な授業の準備が必要となります。しかし、子どもたちは自分で考え試行錯誤する授業、友だちと対話・討論する授業がとても好きです。先生方の共同研究ができてくると、それほど大きな負担なく授業が展開できるようになります。是非、探究型授業アクティブ・ラーニングを生かした授業に挑戦してください。

(構成:木山)
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