著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
アクティブ・ラーニング時代に欠かせない教師の指導スキル
愛知県刈谷市立朝日中学校教諭神谷 和宏
2016/9/27 掲載
 今回は神谷和宏先生に、新刊『アクティブ・ラーニングを動かすコーチング・アプローチ』について伺いました。

神谷 和宏かみや かずひろ

1960年生まれ。現在愛知県公立中学校教諭。
愛知県教育大学数学教室を卒業後、中学校教員になる。コーチングの専門機関で学び、プロコーチとなり、現在は教育現場でコーチングを通して子どもの夢をはぐくむ活動を行っている。

―アクティブ・ラーニングを行ううえで、コーチングがなぜ役に立つのでしょうか。

 コーチングというのは、教え込みや命令ではなく、質問や対話を通して主体性を引き出し、目標を達成できるように、気づきや行動を引き出すアプローチで、これは、アクティブ・ラーニングとの親和性が高いものだからです。
 つまり、教師がコーチングのスキルを駆使することで、より主体的で協働的な子どもの学びが可能になるのです。

―アクティブ・ラーニングでは、子どもの主体的な学びの時間を最大限確保するために、教師の説明は最小限にしたいものだと思います。そこで、教師が説明をするうえで気をつけるべきことを教えてください。

 アクティブ・ラーニングといえども、最低限、教師からの指示や説明は必要です。しかし、手短に説明しようとするあまり、説明が早口になってしまっている場面をよく見かけます。こうならないようにするために、説明する際、相手にきちんと伝わっているかどうかを目の動きや表情などから読み取るようにします。
 また、意図的に間をつくりながら話すことも重要です。詳しくは本書の中で紹介していますが、場面に応じて、3秒、5秒、7秒の間を意識的に使い分けることをおすすめします。

―本書の表紙にも出ている「沈黙に対処するスキル」とは、どのようなものでしょうか。

 授業中、何かを投げかけたのに反応がなく、子どもたちが沈黙する場面をどなたも経験したことがあると思います。そんなとき、わずかな沈黙の時間に耐えきれず、教師の方から沈黙を破ってしまうことが多いのではないでしょうか。
 しかし、沈黙している間にも頭をフル回転させて思考している子どもは大勢います。ですから、何もしないという「無の行動」をとり、子どもを信じて、気づきをじっと待つことも必要です。子どもが自ら考える時間を邪魔してはいけません。

―子ども主体で学習を進めていても、どうしても教師が注意しなければならない場面は出てきます。しかし、「こうしてはダメだよ」「それはよくないよ」とストレートに伝えても、子どもはなかなか素直に受け入れてくれないものです。こういった場面で有効なアプローチの仕方はないでしょうか。

 子どもに限らず、ストレートな注意や叱責を素直に受け入れることは、誰しもなかなか難しいものです。そこでおすすめするアプローチが、「サンドイッチ話法」です。
 具体的な場面などは本書の中で紹介していますが、簡単に言うと、マイナス面の言葉(注意)をプラス面の言葉(承認や期待)で挟み込むのです。「プラス面の言葉」→「注意」→「プラス面の言葉」のように話をするということです。こうすると、子どもは一連の言葉かけをポジティブに受け入れることができ、マイナス面にも向き合う気持ちになれます。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 学習指導要領の改訂が目前に迫り、そのキーワードである「アクティブ・ラーニング」が話題になっています。しかし、実際の授業で子どもたちにどのようにアプローチすればよいのかわからないという先生も多いのではないでしょうか。
 「子どものやる気を引き出すには?」
 「指示ばかりしないで、自分で学習に取り組ませるには?」
 「子どもの気づきをもっと大切にするには?」
 「子どもが本当の意味で楽しめる授業をつくるには?」
 本書は、このような疑問を解決するために一生懸命書きました。
 また、コーチングの研修会も同時に受けつけています。ぜひご連絡ください。

(構成:矢口)
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