著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
工夫次第で、社会科授業はこんなにもバリエーション豊かになる!
埼玉県久喜市立栗橋西中学校教諭青柳 慎一
2016/4/28 掲載
 今回は青柳慎一先生に、新刊『中学校社会科 授業を変える学習活動の工夫45』について伺いました。

青柳 慎一あおやぎ しんいち

1963年 東京都生まれ
埼玉県久喜市立栗橋西中学校に勤務
中学校学習指導要領解説社会編作成協力者

―本書では、知識、概念や技能を習得させるための体験的な学習活動の1つとして、「野外調査」が紹介されています。そこで、野外調査を行う際のポイントを教えてください。

 野外調査は、体験を通して社会的(地理的、歴史的)な事象を学べるので、生徒にとって有意義な学習活動だと思います。ポイントとして、野外調査のねらいを明らかにしておくことが大切です。そして、ねらいに迫るためには、あらかじめ教師が学校周辺の地域的特色や地域の課題をつかみ、どのような事象や事柄に着目させて調査活動を位置づけていくか検討しておく必要があります。実施に際しては、事前に安全指導を行い、活動中の事故防止に努めることが大切です。

―本書には言語活動の例もたくさん紹介されていますが、「イラストマップづくり」「学習新聞づくり」など、作品をつくる(まとめる)活動を行う際の注意点を教えてください。

 作品にまとめる活動には、これまでの学習成果や調べ考察したことを形にする(表現する)というねらいがあります。そのことを生徒に意識させることが大切です。具体的には、設定したテーマを踏まえてイラストマップに示す事象を考えさせたり、単に調べたことを写すだけではなく、その事象が成り立つ要因や関係など自分なりに解釈したことを説明させたりすることがポイントとなります。
 また、どのようにまとめたらよいか、表現の仕方がわからずに戸惑う生徒がいることも予想されます。そういった生徒には、具体的に表現の仕方を例示するとよいでしょう。

―本書では、主体的・協働的な学習(アクティブ・ラーニング)活動の例として、「スキット(寸劇)」が取り上げられています。英語の学習などでよく使われる手法ですが、青柳先生がこれを社会の学習活動に取り入れたのはなぜでしょうか。

 英語の授業で、スキットは場面を提示し、その状況に応じた表現を考え会話する学習活動です。その中には、単に定型的な表現を身につけるだけでなく、自己表現や自己決定を促す会話を設定することができます。社会科の授業でも自分なりに考え判断したことを表現する学習場面があります。そこで、スキットという形を通して、生徒の思考を引き出し、可視化することができるのではと考えました。また、ロールプレイングの要素をもたせることで、生徒の学習意欲を高めることをねらいました。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 これまで、「板書の工夫」「課題提示と発問の工夫」を視点に、自分自身の授業を振り返り、考えてきましたが、今回は「学習活動」を柱に据えて、社会科授業の工夫改善について考えてみました。
 知らなかったことがわかる喜びや友だちと学び合う楽しさが味わえる、ワクワク感の湧き出る学習活動を展開するにはどうすればよいのか。これからの社会を生きる生徒に必要となる「学力」をどのように育てていけばよいのか。こういったことに日々悩んでいます。ぜひ、多くの先生方と授業実践の成果と課題を共有し、生徒にとって魅力的な授業をつくっていければと思います。よろしくお願いします。

(構成:矢口)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • India
    • 2016/5/4 23:03:31
    I can't bevelie I've been going for years without knowing that.
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