著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
グローバル時代を生き抜く力を育てるアクティブ・ラーニング
福山市立福山中・高等学校上山 晋平
2016/4/19 掲載

上山 晋平かみやま しんぺい

1978年広島県福山市生まれ。広島県立福山誠之館高等学校卒業後、山口大学教育学部入学。2000年からオーストラリア・キャンベラ大学に交換留学。その後、庄原市立東城中学校、中高一貫校の福山市立福山中学校に勤務。2009年から同校の高校教諭となり、中高生の英語授業を担当。英語教育・達人セミナーや研究会、校内研修、学会、ALT研修会等の各種研修会で発表を行う。

―本書では1章でアクティブ・ラーニングのさまざまな理論をわかりやすく解説しています。この章はどのように活用できますか?

 アクティブ・ラーニングは「手法そのものはそれほど難しくなくて、本当に難しいのは導入背景や本質理解」と言われています。これまでと同じことをしていても目的やねらいが異なることもあります。そこでアクティブ・ラーニングを実践するうえでのポイントを第1章でシンプルに解説しました。これらを生徒にも語っていただくことで、先生と生徒で方向性のベクトルを合わせることができるかと思います。「何のために」「何を目指して」取り組むのか、ぜひお読みいただきたい部分です。

―本書には「授業編」「家庭学習編」「評価編」「教科外編」として実際の授業で使えるアイデアがたくさん紹介されています。このような構成になっているのはなぜですか?

 この構成の目的は大きく2つあります。
 1つ目は、生徒が主体的になるきっかけを多様に提供したいという思いからです。授業やテストがきっかけで本気になる生徒もいれば、人間関係や校外での活動などがきっかけになる生徒もいます。
 2つ目は、授業改善の実行性を高めたいという思いです。授業でリテリングなどの活動を重視しても評価はペーパーテストのままの状態だと、生徒は活動に積極的に取り組み続ける気力を失うかもしれません。授業や家庭学習や評価をセットで考えてどう指導の一貫性を高めることができるのか、多くのヒントを得ていただけると思います。

―従来のテストではなく、パフォーマンステストの重要性が高まっていますが、グローバル時代の英語科の評価ではどのようなことが大切になるでしょうか?

 英語科のアクティブ・ラーニングは、現状では他教科よりも進んでいると思ってはいますが、今後はさらに、単語や文法などの知識を学ぶだけでなく、学んだ知識を使って課題の発見や解決に向けた「主体的・協働的な学習」を実現する授業形式が推進されることになるでしょう。このとき、教科書の内容などの再生的なパフォーマンスから、それらの内容をふまえて別の文脈においても自分の意見を加えて即興的に対応したりするパフォーマンスなど、より実社会や実生活での使用に近づいた評価に進むのでは、と思っています。本書では簡単にできるパフォーマンステストの実例も紹介しています。

―本書は中学校と高校の先生を読者対象にしています。小学校英語の教科化を受け、それぞれの学校で教師がどのような視点を持つことが重要だと先生はお考えになりますか?

 「自分の校種の前後をつなぐ」意識を持つことが大切だと考えます。たとえば、中学校の先生なら、小学校と高校を橋渡しするイメージです。具体的には、前の校種の良いところを活かし、次の校種とのgapを埋めることです。たとえば中学校の先生なら、小学校で生徒が学んだ表現を知り、それらをうまく中学校の活動の中でも再活用(リサイクル)し、中学校と高校の大きな溝となりやすい「量やレベルの差」「(自主的な)家庭学習の重要性」などをより意識して取り組むことです。本書は中学校の先生にも高校の先生にも役立つように書かれていますので、ぜひ指導のヒントをご利用ください。

―最後に、全国で英語を教える先生方にメッセージをお願いします。

 現在、文科省による高大接続改革の流れもあり、学校教育が大きく変わろうとしています。その中でも英語科の変革は他教科に先駆け、さらにより実効性も求められているように感じます。変革は、ある意味では産みの苦しみに似た大変さも伴いますが、どうせなら前向きな気持ちで他の先生方と知恵を出し合って、新たな教育を創っていこうという意気込みで、主体的に協働的に取り組みを進めていけたらと思います。みなさんで一緒にALT(Active Learning Teacher)を目指して頑張りましょう!

(構成:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • ピカイチ
    • 2016/7/11 22:20:03
     アクティブラーニングをとても分かりやすく説明してあり、良書だと思います。アクティブラーニグ自体が新しいのではなく、むしろ以前から目指すべき学習形態のひとつであったという認識を持ちました。ただ、どうしてもALの華やか部分に目がいくと何のための学習かがおそろかになるので、そこはお互いきをつけたほうがいいですよね。私は、インプットはアウトプットのためにあり、いかに効果的にインプットするかをいつも考えています
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