著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
開かれた発問で問題解決的な学びの場をつくる!
神奈川県公立小学校教諭齋藤 浩
2015/6/5 掲載

齋藤 浩さいとう ひろし

東京都出身。横浜国立大学教育学部卒業・佛教大学大学院教育学研究科修了。現在、神奈川県で公立小学校教諭として勤務。日本国語教育学会会員、日本生涯教育学会会員。主な著書に『子どもを蝕む空虚な日本語』(草思社)がある。

―開かれた発問とはどのような発問のことを言うのですか? 簡単にご説明下さい。

 一問一答式の発問では、国語の得意な子のこたえが是となる傾向にあります。こたえが何十と存在するだけでなく、多種多様な観点が期待できるとしたら、どの子も安心して発言できると共に、授業の中に新たな発見が出るはずです。それこそが“開かれた発問”です。

―開かれた発問を使うと、どのような国語授業が期待できますか?

 ただ一つの正解をさがすという過程から、テキストの中からたくさんの根拠を見つけるという過程に変化し、やがて子どもたち自ら問いを立てて解決していくという問題解決的な学びになっていきます。文字通り、子ども主体の学習になっていくわけです。

―本書では教科書の教材別に開かれた発問の授業実践を30例紹介しています。こちらの活用の仕方について、教えて下さい。

 まずは一つ二つ試してみてください。次に、子どもたちがどのような反応をするのか分かったら、自分で“開かれた発問”を考えてみてください。児童の実態、学級の辿って来た歴史をもとにアレンジすることで、より効果が高まるでしょう。

―開かれた発問で引き起こされる子ども達の話し合いをサポートする際、教師が気をつけるべきことは何ですか?

 子どもたちから多種多様な意見が出されます。出た順にそのまま板書したり取り上げたりするのではなく、必ず観点別に分類しましょう。例えば、文末の工夫、主語の使われ方、色彩語…と整理することで、話し合いの観点が明確になり、より思考が深まるはずです。

―最後に、全国の先生に向けてメッセ―ジをお願いします。

 アクティブな授業が成立するためには、教師の意図的なしかけが不可欠です。国語科ではその大部分を発問が担うと言っても過言ではないでしょう。ぜひ“開かれた発問”を試してみてください。期待以上の成果が出ること、間違いなしです。

(構成:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 大津
    • 2016/5/5 20:44:11
    教育への奥深い探求心に驚嘆します。
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