理数脳をつくる授業 理科&算数3
ここに注目!論理的思考力を鍛えるノート指導の工夫

理数脳をつくる授業 理科&算数3ここに注目!論理的思考力を鍛えるノート指導の工夫

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理科と算数、コラボ研究で授業の新しい発想を目指す!

新指導要領で言語力・表現力の育成が重視されたこともあり、ノート指導に関心が集まっています。しかし、今までどちらかというと理数教科ではあまり重視してこなかった…だけに、論理的思考力を鍛えるための工夫を具体例で紹介します。


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ISBN:
978-4-18-984329-0
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 64頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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特集 ここに注目!論理的思考力を鍛えるノート指導の工夫
医療最前線風邪の対処法 /森田 豊
提起文 思考を整理する場をつくる /夏坂 哲志
理科
実践@ 思考が深まる記述場面の指導 /森田 和良
実践A 単元全体を通して書く指導を! /榊 邦宏
「ノート指導」に関する小ネタ
友だちと共につくるノート /鷲見 辰美
問題解決の能力を育てる見取りを /白岩 等
ノート指導のちょっとした工夫4 /佐々木 昭弘
子どものノートに教師は何を書く? /塚田 昭一
算数
実践@ 説明する力をつける低学年のノート指導 /小川 和子
実践A 「自ら語る力」を育てるノート指導の工夫 /留目 守
「ノート指導」に関する小ネタ
数学的な考え方を育てるノート指導〜「式」「図」「言葉」をたくさんかかせること〜 /小松 信哉
“写す”ノートからの脱却を〜説明活動の場面でノートを生かす〜 /志田 倫明
相手意識がノートを変える /佐藤 修太郎
授業の中で、ノートの中で、子どもたちの心が躍動しているか /仲村 恵
リレー連載T 授業で育つ科学する言葉
〈理科〉能力育成を意識した指導の在り方が必要 /矢野 英明
〈算数〉相互に生かされる理科と算数の論理的思考 /大野 桂
生活科好きにする教材紹介
1年「わたしの あさがお」 /木村 光男
2年「育てて、食べよう!」 /武藤 賢一郎
理科好きにする教材紹介
3年「風やゴムのはたらき」 /小畑 康彦
4年「とじこめた空気や水」 /山元 一哉
5年「振り子の運動」 /黄地 健男
6年「てこのはたらき」 /高岡 洋介
算数好きにする教材紹介
1年「かずしらべ」 /大崎 智子
2年「時間と時こく」「ひょうとグラフ」 /小山 誉
3年「あまりのあるわり算」 /鈴木 悦子
4年「ともなって変わる量」 /尾崎 伸宏
5年「平均」 /小谷 祐二郎
6年「組み合わせ」 /赤川 峰大
リレー連載U 理数というけれど 理科と算数 何が同じなの?
理科と算数ここが同じ,ここが違う
〈理科〉具体的な事物・現象の中で常に立ち返って考える /原 啓一朗
〈算数〉主体的に問題解決に立ち向かう子を育てるために /上山 香子
理科的算数授業のすすめ
〈理科〉体感・実感を通すための実験を算数に! /伊藤 一美
〈算数〉体積を感じる授業〜量感を育てる算数的活動〜 /久保田 健祐
算数的理科授業のすすめ
〈算数〉科学的な視点から「仮説」を立てられるための工夫を /宇野 超
〈理科〉表を用いて考察する場面で /込山 宏
理数教育への挑戦
子どもたちの「理科の眼」を引き出したい! /上田 享志
編集長連載
〈理科〉算数から学ぶ,理科のノート指導〜応用編〜 /佐々木 昭弘
〈算数〉「作る」活動を有効に取り入れる /夏坂 哲志
有識者からの提言
〈理科〉理科に定量的な視点を入れよう〜子どもたちに計算させよう〜 /小森 栄治
〈算数〉自分で考える〜子どもの頃に学び今でもやっていること〜 /畑村 洋太郎
グラビア・解説 /近藤智子・吉村 智美
編集後記
ノート探検隊 /冠木 誠
次号予告

特集ここに注目!論理的思考力を鍛えるノート指導の工夫/医療最前線風邪の対処法

   医療ジャーナリスト,医学博士 /森田 豊(写真省略)


 現代の医療

 医学の進歩・発展とともに,これまで常識と思われていた医療に関する知識の中には,実は真偽の疑わしいものがあることも判明してきました。現在,私は,現役医師として医療に従事する傍ら,こういった日常診療における常識ならびに民間伝承的な知識の真偽を検証しつつあります(森田豊『ねぎを首に巻くと風邪が治るか? 知らないと損をする最新医学常識』角川SSC新書)。今回は,風邪の対処法について考えてみたいと思います。


 風邪の対処法,最前線

 熱が出たら,暖かくして汗をかいて寝た方が早く治ると思われている方も多いかと思います。しかし,これは,現代の医療では間違った対処法です。汗をかかせるために,無理に暖かくする必要はないのです。正しい対処法は,物理的に体全体の温度を下げて,高い体温から生じる体力の消費を極力避け,かつ,発汗による脱水を予防するのが重要なのです。具体的には,首の周囲,脇の下,そけい部(股の付け根の内側)など,皮膚に近いところに太い血管が走っている部位に,冷やしたペットボトルや,冷たいタオルなどを置きます。頭部を氷嚢や氷枕で冷やす光景もよく目にしましたが,頭部には,あまり太い血管はありませんので,体を冷やす作用はあまり望めません。頭痛などの症状緩和に対してのみ,ある程度の効果があるだけです。時事通信社発行の『家庭の医学』での「風邪の対処法」というところの記載も,時代とともに変化が認められます。たとえば,1949年版には,「体を暖かくして就寝すると,発汗して気持ちよくなり,翌日からは熱が高く出ず」とあり,1969年版,1988年版のいずれにも,「かぜのひきはじめには,昔から発汗療法」と書かれてあります。1990年代までは,風邪の対処法について,「昔から発汗療法が行われています。卵酒を飲むとか,熱いうどんを食べて,そのあと,からだをあたたかくして休む」と書いてあるのです。50年以上も伝えられてきた対処法だったのです。しかし,2001年版には,「汗をかくと気化熱により体温が奪われるので熱が下がりやすくなります」と修正され,さらに,2005年版では,「かぜに対する特効薬はなく,一定の経過をとって自然に治癒していくもの。汗が出て脱水状態になることがありますので,水分を十分にとることも大切です」と記載されています。すなわち,発汗療法という言葉がなくなって,むしろ脱水症になりやすいという点に注意が加えられています。ですから,発汗療法というのは迷信だったことになります。

 さて,つづいて,風邪をひいている時の入浴は避けた方がいいのでしょうか? 多くの方々は,風邪の時にはお風呂はダメと考えているでしょう。実は,風邪をひいている時に入浴を控えるというのは,日本特有の習慣なのです。入浴してはいけないという医学的根拠はあまりありません。高熱が出ていたり,強い悪寒がしたり全身がだるかったりする状態では,軽くシャワーを浴びる程度で済ませるのが無難です。また,体力を消耗しないように長風呂は避けた方がよいでしょうし,水分補給にも注意が必要です。

 さらに,民間療法として,風邪の時,ねぎを首に巻くと効果があると言われ,それを実践された方もいるかと思います。実際の真偽はどうなんでしょうか? ねぎを食べると効果があることは,ねぎの成分から明らかですが,首に巻いて効果があるというのは間違いです。ねぎ,とくに長ねぎは,辛み成分のアリシンの作用で血行を促進し体を温め疲労回復に効果があると言われています。また,アリシンは,ビタミンB1の吸収を高めて,疲れを癒す働きがあるとも言われています。ねぎの白い部分は,「葱白」といって漢方でも風邪に効果があることで知られています。ねぎの緑の葉の部分はβカロテンやビタミンCが豊富で,ねぎが風邪の際に,効果がある食品であることは間違いありません。しかしながら,ねぎを首に巻いたからといって,ねぎの成分が皮膚を通して,血液の中に吸収されるとは考えられません。

 マスクは風邪の予防に本当に効果があるのでしょうか? 昨年,国内では,新型インフルエンザの騒動以来,マスクが爆発的に売れました。ほとんどの病院で,医師や医療従事者のマスク着用の指示がでました。ところが,欧米では,風邪の症状(咳や鼻水)が出ている人がマスクをするのは他人にうつさないようにするために医学的根拠のあることだが,症状のない人がつけても,予防効果はないとされているのです。新潟大学からの報告でも,「マスクの着用は,インフルエンザにかかった人が他の人にうつさないことに効果があり,自分に感染するのを完全に防ぐものではない」と指摘しています。新型インフルエンザの騒動の際,屋外で日本人がマスクをつけている姿を,欧米のメディアが,とても滑稽に報じていたのも印象的でした。また,欧米人にとって,マスクをつけている人は「犯罪者か重症者」という認識があるようです。マスク好きな日本人に対して,欧米人は,「日本人は,マスク姿の異様な集団」と,皮肉って報じていました。そんなわけで,広い空間や野外を歩いている人がマスクをつけていても,風邪を予防することにはならないというのが,一般的な医学常識のようです。しかし,最近,関西医科大学から以下のような報告がありました(日本小児感染症学会,2007年)。インフルエンザ流行期に小学生308名に対して,マスクを装着させた群と装着させない群とに分け,インフルエンザの発症率を比較検討したところ,マスク装着により発症率が5分の1に低減したとのことです。この研究は,もしかしたらこれまでの欧米の風邪予防に関するマスクの否定的な考えを覆すかもしれません。ただし,まだ一施設からの発表ですので,今後の同じような研究の蓄積を待って,結論を慎重に出さなければならないでしょう。

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      明治図書
    • 算数と理科は、「理数」とひとくくりにされますが、異なる教科なのですから、「授業のねらい」や「授業づくり」の手法も異なって当然。

      実践を通して上で、算数と理科の共通点と相違点を分かりやすくて提示してくださる本誌の意義は大きいと思います!

      それぞれの教科の本質も明らかになっていくからです!
      2010/12/11ゆきお

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