“体を楽器”にした音楽表現 リズム&ゲームにどっぷり! リトミック77選

“体を楽器”にした音楽表現 リズム&ゲームにどっぷり! リトミック77選

好評27刷

音楽のうねりとコミュニケーションを体験できるアイデア満載。

リトミックは、身体を楽器に見立てた音楽表現活動。音楽と精神(心)とからだを融合した“心の体操”とも言えます。本書は、リトミック体験のためのアイデアが詰まっています。どのゲームも、音楽のうねりにのること、人とのかかわりを楽しむことがポイント。


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ISBN:
4-18-770016-1
ジャンル:
音楽
刊行:
27刷
対象:
幼・小
仕様:
B5判 164頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年4月25日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 からだのなかの音楽
ゲーム1 からだのなかの音を聴いてみよう
ゲーム2 からだのなかからひと息“フー!”
ゲーム3 いろいろな声をだしてみよう
ゲーム4 足音ってどんな音?(その1)
ゲーム5 足音ってどんな音?(その2)
ゲーム6 手をたたこう! 手でたたこう!
ゲーム7 ジャンケンポン! でマッサージ
ゲーム8 カチカチとぷら〜んぷらん―緊張と弛緩―
ゲーム9 タッチ! タッチ! タッチ!
第2章 ビートにのろう
ゲーム10 ティティター
ゲーム11 手をたたこう
ゲーム12 まねっこポーズ
ゲーム13 ゆびさしビート―変化するリズムパターン―
ゲーム14 名前を呼ぼう
ゲーム15 おにぎりつくろう
ゲーム16 二人で歩こう
ゲーム17 二人でせっせっせ
ゲーム18 あたまひざかた
ゲーム19 電車ごっこ
ゲーム20 ブランコ
ゲーム21 ピタッ!
ゲーム22 リズムパターン
ゲーム23 あっち行くよ,ポン!
ゲーム24 あんたがたどこさ
ゲーム25 ことりのリズム
第3章 拍子を感じよう
ゲーム26 いち・に・さん・しdeポーズ
ゲーム27 色さがし
ゲーム28 三つの色カード
ゲーム29 ナシ,リンゴ,オレンジ
ゲーム30 ステップしよう
ゲーム31 ちがうリズムを合わせて
ゲーム32 いくつかな?
ゲーム33 おちたおちた
ゲーム34 カードでトントン
ゲーム35 かごに入れて!
ゲーム36 肩たたき
ゲーム37 ボールをつこう
ゲーム38 みんなでダンス
ゲーム39 ピコロミニ
第4章 フレーズ・呼吸・空間
ゲーム40 だるまさんがころんだ
ゲーム41 ヒラヒラペーパー
ゲーム42 まわせまわせ
ゲーム43 アルプス一万尺
ゲーム44 ぞうさんのおともだち
ゲーム45 トレパック
ゲーム46 行進曲
ゲーム47 とびだせりすちゃん
ゲーム48 はたけのポルカ
ゲーム49 八つの手拍子
第5章 ロープdeゲーム―イメージあそび―
ゲーム50 ジャングルの音
ゲーム51 ロープで絵を描こう
ゲーム52 ながいのなあに?
ゲーム53 ロープでアスレチック!
ゲーム54 まわせまわせ ぐるぐる まわせ
ゲーム55 パン屋さんにお買い物
ゲーム56 チロチロリン!
ゲーム57 ボールでなかよし
第6章 対話を楽しもう―即興演奏―
ゲーム58 高い音,低い音
ゲーム59 ドの即興
ゲーム60 ドドドー
ゲーム61 ピッチ
ゲーム62 ドとソ
ゲーム63 ソファミ
ゲーム64 音の階段
ゲーム65 かなしい旋律
ゲーム66 かえるの合唱
第7章 歌&楽器deゲーム
ゲーム67 もちつき
ゲーム68 まめまき
ゲーム69 うれしいひなまつり
ゲーム70 おきなわのうみ
ゲーム71 びょういんのうた
ゲーム72 麺好きな面々(十杯食べちゃった)
ゲーム73 あきのおそら
ゲーム74 まりつき
ゲーム75 おしょうがつ
ゲーム76 「たのしい◯◯のうた」
ゲーム77 一匹の野ねずみ
おわりに

はじめに

 本書は,幼児・児童を対象とした,だれでも参加できる楽しいあそびを提案しようとするものです。とりわけ,子ども(幼児・児童)と大人のコミュニケーションを促すリズム・ゲームについて,できるだけ具体的に言及したいと思います。

 本書に掲げた実践の底流にある考えは,次の3点に集約されます。


▼視点1:音楽体験の質を高めよう


 幼児期・児童期に経験するさまざまな事象は,一人ひとりの心身の成長・発達に大きな影響を及ぼします。つまり,子どもは周囲の環境や人とどのようにかかわるのか,がポイントとなります。一人ひとりの伸びやかな成長はその体験の質に依存していると考えられます。そこでは,周囲のさまざまなでき事に興味や関心を注ぎ,その事象の変化をポジティブに受け止める――このような体験が,子ども一人ひとりの心身両面の伸びやかな成長・発達を促すのだと考えられます。

 この観点から,音楽あそび(リズム・ゲーム)は,心身の成長・発達を促す貴重な空間として位置づけられることが重要であると言えます。

 音楽あそびは,単に楽しいだけに終始するのではなく,そこで聴取・体験される音楽の質(成長・発達に必要な目的を持った活動であること)が問われているのです。どんな質の体験が求められているのか,子ども一人ひとりの姿をしっかりと観察するところから,教育はスタートします。

 子どもだからこんなもの(粗悪なもの)でよい,という安易な考えは切り捨てられなければなりません。残念ながら,多くの場面で,子どもたちの音楽環境(教育環境)は優れているとは言えないのが実態なのです。学習初期の体験であればあるほど,クオリティの高い,感動に満ちた音楽体験を味わいたいのです。

 あそびや学習の場で,大人の果たす役割は大きいと言えます。私たちは,(子どもにとっても大人にとっても)望ましい音楽環境を整え,聴取する音楽の質を選定する任務を負っています。そこでは,子どものそばにいる私たちが,音楽的な生活を楽しんだり,美しさに感動したりする機会を持つなど,自己研鑽に励む姿こそが大切な環境になると考えられます。

 大人も子どもも,物質的な豊かさを超えて,精神的にも音楽的にも充実した生活を過ごすことが肝要なのだと思うのです。


▼視点2:楽しい音楽参加の機会を提供しよう


 子どもの音楽能力の発達に影響を及ぼしている要因はいくつかあります。この点について,マグドナルドとサイモンズは,「聴き取る力」「身体的な調整能力」「知能」「経験」の相互作用の結果である,と指摘しています(マグドナルド&サイモンズ,1999,p.51)。これらの体験は,大人の態度に依存しています。つまり,子どもの「音楽的発達は,子どもたちが大人と一緒の楽しい音楽的経験に参加する多くの機会を与えられて高められる」のです(前掲書,p.51)。

 とりわけ,音楽的なスキル(聴く,歌う,動く,創る)の発達は,「身体的な発達(年齢)」と「身体調整力(経験)」に依存しています。これらのスキルの高まりに際しても,大人の存在は看過されません。次のエピソードはそのことを物語っています。

 一般的に,多くの大人は,子どもが「歌を口ずさむ」のを見てとても喜びます。その姿を観るとき,その子どもは何か特別な音楽的才能を持っているのでは……とさえ感じるのです。

 しかし,このようなスキル(旋律や歌を聴き取ったり,口ずさんだり,動いたりするスキル)は,普段のなにげないかかわりを通して獲得されていきます。すなわち,(子どもは)「自分に歌いかけられたり話しかけられたりする中で,歌ったり話しをすることができるようになっていく」(前掲書,p.54)のです。子どもが口ずさんだり,おしゃべりを始めたりするそのきっかけは,どれだけまわりの人々や自分自身と関係づけていくかにかかっている,と考えられるのです。

 大人とのかかわりの質は,子どもの価値観に少なからず影響を及ぼします。言いかえると,子ども自身が音楽を選定する価値基準は,「教師」と「子ども」と「音楽」の相互作用のある体験に影響を受けていると言えます。

 このように,音楽的なスキルの高まりと人間関係能力の育ちは深い関係があると考えられるのです。


▼視点3:音楽のうねりとコミュニケーションを体験しよう


 音楽あそび(リズム・ゲーム)は,音楽的に豊かで,しかも人間同士の温かな感情のやりとりが重要となります。そこでは,次の2つのポイントに留意して活動をおこなうことが肝要です。

 1つは,音楽のうねりに“どっぷりと浸かる”という体験が重要であることです。音楽を軽く聴き流す習慣や,知識だけを詰め込むという音楽学習は,音楽に含まれているおもしろさや楽しさ,美しさ等に,子ども自身が気づくチャンスを狭めてしまいます。やはり,音楽の学習は,言葉を超えたことばとして,音楽のうねりが醸し出す独特の雰囲気の中で,何らかの意味合いを感じ取ることが重要になると考えられます。子ども自身が,“これ(音楽)はおもしろい”と感じるには,深い感動が必要になります。そこでは,音楽のうねりに「どっぷり」と浸かってみる――この体験が欠かせないのです。

 もう1つは,これらの音楽ゲームを通じて,人と人のかかわり,つまり“コミュニケーションを楽しむ”ことが重要です。一人で音楽に聴き入ることも素晴らしい音楽体験と言えます(このことを否定するものではありません)が,今日の我が国の社会状況を鑑みるとき,人との出会いや,人とのかかわりの大切さをしらないままでは,そして自分の意志を正確に伝える技(わざ)を持たないでいては,子どもたちの好ましい成長や・発達を遂げることは難しいと考えられます。前述したように,特に幼い子どもの場合には,周囲の人(先生や家族)と一緒に,音楽に含まれるさまざまな情感などを味わってみることが欠かせません。この観点からも,表現の機会を持つことは大切なことと言えます。


 私たちは,“音楽が好き”そして“人が好き”という子どもたちを育てたいのです。

 音楽は音楽のためにあるのではなく,(音楽は)人が“幸福感”や“平和の喜び”を味わうためにある,と考えられます。音楽の体験は,一人ひとりが,そしてみんなが幸福に近づくための尊い空間なのです。

 さあ,一緒に音楽をしましょう。一緒にあそび,動き,歌い,笑いましょう。そして,“一緒に音楽するって素晴らしい”と思えるような環境を創っていきましょう。


   /神原 雅之


【参考文献】マグドナルド&サイモンズ共著,神原雅之ほか共訳『音楽的成長と発達』,渓水社 (1999)

著者紹介

神原 雅之(かんばら まさゆき)著書を検索»

広島県出身。国立音楽大学教育音楽学科第U類(リトミック専攻)卒業,広島大学大学院学校教育研究科修了(教育学修士)。現在,国立音楽大学教授広島音楽アカデミー主事,リトミック研究センター広島第一支局チーフ指導者。日本ダルクローズ音楽教育学会理事,日本音楽教育学会会員,日本保育学会会員,等。幼児・児童の音楽教育,音楽能力の発達,即興演奏について研究。乳幼児学級講座,各地の教育委員会,公民館などの講師としても活躍中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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