ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録
子どもの笑顔がみるみるあふれる! プラスに考える学級づくりの羅針盤
ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録(8)
ぼくもわたしもみんなのお手本! 友達のいいところを真似しながら成長し続ける価値語録
菊池省三監修菊池道場広島支部
2017/1/10 掲載

どの子も、必ずみんなのお手本になる姿を持っています。それが授業中だったり休み時間だったり、当番活動のときだったりしますが、あらゆる場面で発揮でき、それをキャッチし合える教室でありたいと思っています。お互いのいいところを価値語として言葉に表すことで、なんとなくすごいな、と思っていたことが、「こんなふうにやってみようかな」と具体的なお手本にかわるのではないでしょうか。

遊び王

ゲーム機やおもちゃだけが楽しい遊びではありません。ほしいものが何でも手に入るわけではない――そのような中で、そこにある物や経験を生かして遊びを見つけ、友達と一緒に楽しめるようになってほしいものです。

 この価値語が登場した場面は,雨の日の休み時間でした。雨の日が続くとついつい走ったり、友達と追いかけっこをしたりしたくなります。お絵かきやおしゃべりだけでは、限界がきていました。「先生、何か遊ぶものはないですか。」と聞いてきた子もいました。「○○くん、あばれたらいけんよ。」と何度も注意する声が聞こえました。
 なんとか雨の日の遊びを考えなくては、と悩んでいたところ、ある男の子の声がしました。「すごろくやる人ー! 一緒にやろう!」その子は、自由帳にすごろくを書いていたのです。授業中に使っていたサイコロを見て、みんなが遊べる方法を思いついたのです。もちろん、友達は大賛成。ルールを相談しながら、みんないい顔で楽しく遊んでいました。そして、そんな「遊び王」の真似をしていろいろなすごろくが誕生しました。何でも与えてもらえることよりも、自分たちで考え出さなければならないことの方がこれから先は多いですし、ずっとおもしろいと思います。

プロになる

学校では必ずある当番活動。毎日ただこなすのではなく、自分なりにこだわりを持ち工夫しながら続けられる人は、その仕事のプロです。

 黒板を消す当番、本棚を整頓する当番、電気を消す当番……学校には、いろいろな当番があります。ある日、黒板を消す当番の子どもが、黒板を消し終わった後にチョークを色ごとに分けて並べていました。聞いてみると、先生が使いやすいように、だそうです。次の時間、私はとても気持ちよく黒板を使うことができました。
 また、本を整頓する当番の子どもは、本の高さをそろえるために並びかえていました。見た目がきれいだと、みんなも本を選びやすいから、だそうです。
 やらなければならない仕事はたくさんあります。ですがその仕事は、まわりの人が気持ちよく過ごすためにとても大事な仕事です。低学年にして、使う人のことを思いながらこだわりを持って仕事ができる姿に脱帽しました。

イラスト

なんども なんどでも

文字を書くとき、作品を仕上げるとき、何度も何度も納得がいくまでやりぬく気持ちが、成長を後押ししてくれます。そして、何度もやって「できた‼」と思えたときの満足感が、次の成長へつながります。

 特に低学年は、集中力が長くは続きません。初めてのこと、難しいことだらけです。文字を書く練習も途中から疲れてきます。そんな中、初めて習った字を何回も書き直している子どもがいました。お手本をよく観察し、字の形を正確に覚えようとしていたのです。
 「なんども なんどでも」字を書き直している子どものノートには、消した跡がたくさん残っています。ときには紙がやぶれそうになっています。ですがそこに残った文字は、力強く自信に満ちています。時間がかかっても納得いくまで、ていねいに字を書いたノートはとても美しく感じました。結果だけでなく、そこに行きつくまでの過程をしっかり見とり、ほめていきたいと思います。

菊池 省三きくち しょうぞう

愛媛県出身。山口大学教育学部卒業。 小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育をめざしてきた。 教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し、その支部は全国40ヵ所に広がっている。「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられたことをきっかけに全国へ講演。 「世界一受けたい授業」では、学級崩壊立て直し人として紹介される。2015年3月に小学校教師を退職。自身の教育実践をより広く伝えるため、執筆・講演を行っている。『ほめ言葉手帳』には価値語録とともに、子どもをほめる手立てが満載!

菊池道場広島支部きくちどうじょうひろしましぶ

平成26年8月発足。本部は広島市にある。在籍数21名。月に1〜2回、広島県内一円から教員や精神対話士などが集まり学習会を開いている。月刊誌『授業力&学級経営力』(明治図書)、『白熱する教室 創刊号』『価値語100ハンドブック』『1年間を見通した白熱する教室のつくり方』(以上、中村堂)などに執筆協力多数。

(構成:林)
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