日時:2017年3月4日(土)10:30〜12:30
場所:林野会館 604号室 (東京メトロ丸の内線茗荷谷駅徒歩7分)
シンポジスト:
川崎興太(福島大学共生システム理工学類 准教授)「福島復興政策の転換と福島の復興に向けた課題−“2020年問題”を前にして−」
天野和彦(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 特任准教授)「復興と自治、地域づくり」
趣旨:
東日本大震災から6年が経過しようとしているが、被災地のまちづくりは順調に進んでいるとはい言いがたい。津波被災地域のかさ上げや高台移転問題、防潮堤の建設問題、商店街の復興など、問題は山積している。特に福島県の原発事故にともなう避難地域では、復興が緒についた地域がある一方で、まだ帰還の目途すら立たない地域も存在している。しかし、そのような中でも帰還する住民を迎え入れ、地域の復興を進めるためには、新しいまちづくりが不可欠である。本シンポジウムでは、福島県の被災地を中心に、現在どのようなまちづくりが進められ、どのような課題に直面しているのか、現場で実践に取り組んでいる研究者からの報告を受け、討議を深めることを目的としている。
原子力災害被災地の復興に関しては、被災者や被災地の実態にかかわらず、避難指示を解除し、被災者への支援と賠償を打ち切る動きが加速している。この背景として、2020年、すなわち、復興期間が終了し、復興庁が設置期限を迎え、東京オリンピックが開催される節目の年までには、福島原発事故を克服した国の姿を形づくることがめざされていることがある(2020年問題)。しかしこのような期限ありきで地域や被災者を軽視するやり方では、復興を進めることはできない。まず、地域や被災者の実態を捉え、それに即した復興政策をとることが必要である。
また、どのように「復興」を進めていくのかも課題である。まちづくり・地域づくりは単に都市計画や道路・建物などのハードの部分だけを完成させれば終了するというものではない。そこに住む人々がどのように地域をつくっていくのか、ソフトの部分が重要になる。その時に最も必要になるのが住民の自治である。そこに住む人々が自らの意思に基づいて地域をつくってこそ、初めて地域は復興することができる。そのためにはどのようにしたら良いのであろうか。
これらの課題は、主権者の育成を目指す社会科教育を考える上でも避けて通れないものである。本シンポジウムでは、これらの課題について実態を踏まえて討議し、今後の進むべき道について考察を加えたい。