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10万件の「学校裏サイト」リンク集―民間のいじめ対策続々
kyoikujin
2008/9/21 掲載
学校裏サイト――進化するネットいじめ(晋遊舎ブラック新書 6)

 今月8日、全国Webカウンセリング協議会は、独自の方法で収集した10万件以上の学校裏サイトのリンク集を公開した。ネットいじめの温床と指摘される学校裏サイトだが、その対策に乗り出す企業や団体も増えつつあるようだ。

 全国Webカウンセリング協議会の公開した「全国裏サイトリンク集」は、発見が難しいとされる学校裏サイトのリンクを独自の方法で収集し、データベースとして構築したものだ。閲覧できるのは学校関係者のみで、教育に関係する団体にのみIDとパスワードが発行される。

 学校裏サイトとは、子どもたちが自分たちの通う学校について情報交換をするための、非公式な掲示板のことで、匿名性を利用した誹謗中傷からいじめに繋がることが問題視されている。
 学校側が裏サイトを発見して規制をしても、掲示板は誰でも簡単に立ち上げられるので、常に全貌を把握し続けるのは難しいようだ。

 同サイトを利用すれば、学校裏サイトを発見しやすくなるので、その分子どもたちの書き込みへ目が行き届くようになる。現在の登録件数は10万件以上で、20万件といわれる学校裏サイトのうち半分をカバーしたことになる。裏サイトの新規登録も受けつけており、これからも随時増えていく予定だ。

 同様のサービスとしては、株式会社サイブリッジが提供する「学校裏サイトチェッカー」がある。現在の登録数は約3,800件と「全国裏サイトリンク集」に比べると少ないが、こちらは誰でも閲覧することができ、個人でも簡単に利用できる。

ネット利用のいじめ対策サイトも

 ネットいじめの問題は、いじめる側の顔が見えない点だが、逆に顔が見えないことを活用して、いじめを解決しようとするサービスもある。

 日本青少年キャリア教育協会が運営する「みらクリッ!」内の「カウンセリングルーム」では、全国Webカウンセリング協議会が認定するカウンセラーにいじめの相談を行うことができる。コミュニティカウンセリング「みらい」では、非公開で1対1の相談ができ、10代少女に人気の「ふみコミュ!」と提携した掲示板ではより気軽に投稿相談ができる。公開されている掲示板にはカウンセラーからの丁寧なアドバイスと、匿名投稿の意見を見ることができる。

 株式会社ブラストメディアもユニークないじめ対策を提案している。同社が運営する「いじメモ」は、誰にも言えない悩みや、いじめられた内容を書き込み、メモしていくだけのサイト。書き込むことで気持ちが整理され、文書化することで外部へ協力を求める際の助けにもなる。本人以外に内容を見ることはできないが、書き込み回数に応じて自動的にアドバイスのメッセージが表示される仕組みだ。

 ネットいじめの問題は、実態が把握しづらいだけに、学校だけで対応するのは、まだまだ難しいのかもしれない。今回紹介したように、積極的にいじめ問題解決に取り組む企業や団体が増えることで、少しでも子どもたちの環境が改善されることに期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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