著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「手ごたえ=実体」のある、本物の国語授業を目指そう!
ふくしま国語塾主宰福嶋 隆史
2015/11/24 掲載
 今回は福嶋隆史先生に、新刊『国語授業力を鍛える!手ごたえのある指導ができる教師の技術』について伺いました。

福嶋 隆史ふくしま たかし

ふくしま国語塾主宰。
1972年,横浜市生まれ。株式会社横浜国語研究所代表取締役。早稲田大学文学部中退。創価大学教育学部(通信教育部)児童教育学科卒業。日本言語技術教育学会会員。日本リメディアル教育学会会員。日本国語教育改革ネットワーク代表。公立小学校教師を経て,2006年,ふくしま国語塾を創設。「ふくしま式」の一貫した国語指導法・学習法は,テレビ・新聞・雑誌などでも多々取り上げられ,高く評価されている。著書に『論理的思考力を鍛える超シンプルトレーニング』『スペシャリスト直伝!国語科授業成功の極意』(明治図書)他多数。

―本書では、子どもたちにとって一生必要になる国語力をしっかり身につける授業が大きなテーマとなっています。この「一生必要な国語力」とはどのようなものを指すのでしょうか。

 端的に言えば、「学校を卒業してからも子ども自身が自覚的に活用できる力」のことです。学校の中で学ぶ目的は、学校の外にこそ存在するのです。「ごんぎつね」をいかに完璧に読むことができても、それは学校の外では役立ちません。「外」とは、空間的意味のみでなく、時間的意味もあります。子どもの未来を支える技術を与えること。それが授業の役目です。

―さらに、読解力を高める「3つの力」についても紹介されていますが、この「3つの力」とはどのようなものなのでしょうか。

 「3つの力」とは、「言いかえる力」「くらべる力」「たどる力」のことです。それぞれ、同等関係整理力、対比関係整理力、因果関係整理力のことです。まとめて言えば、「関係整理力」です。読解力のみならず、広く国語力とは、この「関係整理力」を身につけることなのです。 

―詳しくは本書で…と思いますが、福嶋流テスト作りのポイントを簡単に教えてください。

 国語のテストにおいて最も重要なのは、評価基準を明確化することです。ある10点満点の記述式設問で、Aさんが7点、Bさんが8点だったとします。そのとき、BさんがAさんよりなぜ1点高かったのかを、教師は全員の前で説明できなければなりません。その説明によってこそ、Aさんは次の機会に1点アップできるようになるわけです。 

―「国語授業力を鍛える」ために教師が一番に意識すべきことは何だと思いますか。

 「活動」という言葉にだまされないようにすることです。子どもがワイワイがやがやと話しあったり教室を歩き回ったりするだけで、実質的な「国語力」が何ら身についていないような、いわば教師の自己満足の授業が多々存在し、それが優れた授業だと思われてしまうのが現状です。「言語活動」とは何か。その答えは、本書に明確に示されています。 

―最後に全国で国語を教える先生方に、一言メッセージをお願いします!

 子どもは小学1年生であっても日本語をある程度使えます。しかし、そういう素地に頼った授業をするのは、極めて危ういことです。系統的に日本語を身につける前に、話し合いばかりさせていてもダメなのです。日本語をしっかり身につけさせる授業を行う責務が、先生方にはあります。しっかりその責務を果たすべく、今その第一歩を踏み出しましょう。 

(構成:木山)
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