著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
特別支援教育には「個の物語」紡ぎがよく似合う
ノートルダム清心女子大学講師青山 新吾
2013/5/10 掲載
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  • 教師力・仕事術
 今回は青山新吾先生に、新刊『青山新吾―エピソードで語る教師力の極意』について伺いました。

青山 新吾あおやま しんご

1966年、兵庫県生まれ。小学校勤務・岡山県教育庁勤務を経て、現在、ノートルダム清心女子大学講師。学校心理士、臨床発達心理士。主な著書に、『自閉症の子どもへのコミュニケーション指導』『特別支援教育を創る!』『吃音のある子どもたちへの指導』『個別の指導における子どもとの関係づくり』(明治図書)などがある。

―本書は、「エピソードで語る教師力の極意」シリーズの1冊で、青山先生の教師人生を支えてきた方法や発想を、具体的なエピソードをまじえて語っていただく書籍になっています。まず、先生にとっての「教師力」とはどのようなものでしょうか。

  私が考える「教師力」の1つは「観察力」です。制服のボタンを全部外してまるでやる気がないように見えた男の子。指名され発表する瞬間に、その手はボタンへと伸びました。発表内容もさることながら、その一瞬の動きから子どもの内面を推察し、その思いと交信して関係を紡ぐという、地味な作業が重要だと思うのです。それを支えるのが「観察力」だと考えます。

―Q1で先生があげられた教師力を身につけていくには、どういったことが大切と思われますでしょうか。

 常に自分自身を「内省」することだと考えています。「この言い方で伝わっているかな。子どもと自分との関係を変化させられないかな。」等と振り返ることです。そして、自分とは異なる見方を示してくれる人を探して、自分自身の見方を固定化させず、見方を拡げる努力を続けることが大切だと思うのです。

―青山先生がこれまで教師をされていらっしゃる中で、障害のある子ども達、苦戦している子ども達とのかかわりが多かったと思います。それには何か理由がおありでしょうか。

 うまく通じ合いにくい子ども達と、気持ちの交流ができた実感を持てた瞬間があります。でも、苦戦しながら進んでいる子ども達とその家族は、直ぐに何もかもうまくいくわけはない。時間がかかることも多いのです。そのような時の流れにつきあいつつ、側にいて、ほんの少しだけ役に立てたかもと思える時もあります。そういった緩やかな時の流れの魅力を知ってしまったからでしょうか…。

―教師生活は、「大切な出逢い」に彩られていらっしゃると思います。子どもとの出逢い、同僚教師との出逢い、恩師との出逢い。その中で、青山先生にとって印象深い出逢いを1つご紹介下さい。

 敢えて1人だけと言われたら、やはり、師匠、片倉信夫先生との出会いです。「一緒に暮らしていればいい」「相手とつきあっている手応え、実感があればいい」ということばは、私の実践の方向性を規定した日本語でした。また、その観察の細かさと解釈の鋭さ、実践記述の文章は、私の見方、記述法に多大な影響を与えました。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします!

 実践の方向を規定するような、自分にとって重要で、絶対譲れない日本語を探していくとよいのではないでしょうか。そして、その日本語を信じて行った子ども達とのつきあいを丁寧に記述して、それに意味づけし続ける愚直さが重要だと思うのです。「個の物語」を紡いでいくしつこさとおもしろさを「一緒に」話せる仲間が増えれば嬉しいなと思っています。

(構成:及川)

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