著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
初任者必携! 学級づくり・授業づくりのポイント 指導案 指導法 
初任者指導アドバイザー野中 信行
2013/1/23 掲載
 今回は野中信行先生に、新刊『新卒教師時代を生き抜く初任者1ヶ月の成功シナリオ』について伺いました。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年、佐賀県生まれ。1971年、佐賀大学教育学部卒業。37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60 〜やんちゃを味方にする日々の戦略〜』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』 (単著)、『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術 初めて教壇に立つ先生のための日々の心構え』 (編)などがある。

―本書の中でもあげられていますが、「初任者のクラスは7、8割が荒れる」と言われます。それはなぜでしょうか?

 理由は3つあります。
 1つは、「学級づくり」の方法を知らないこと。2つ目は、子供たちとの「関係づくり」を知らないこと。3つ目は、初任者研修が多すぎること。1と2は、大学がほとんど教えていないことからくる原因です。3は、研修の多さで、初任者がクラスを離れなければいけないことが多すぎることの問題です。

―本書では、野中先生が毎年春に開かれている初任者指導講座を、“紙上ライブ”という形で再現いただいています。その中で、先生は「学級づくりは最初の1ヶ月が勝負」として、土台としての学級づくりの重要性を指摘されています。1ヶ月の間に学級をのせていくポイントはどういったものでしょうか。

 「最初の1ヶ月が勝負」というのは、昔から言い伝えられてきたことで、現場での常識です。私は「3・7・30の法則」を提唱しています。始業式から3日間の役割、1週間(7日)の役割、30日の役割を設定して、構造的に学級を作っていこうという提案です。多くの先生たちが実践をして、成果をあげています。

―先生は「学級づくり3原則」として、関係づくり、仕組みづくり、集団づくりをあげられています。そのうち、最も大切な原則である「関係づくり」において、大切なことはどういったものでしょうか。

 今荒れているクラスの原因は、ほとんどが担任と子供たちとの「関係づくり」の失敗・破綻です。だから、ここが大きな勝負になるのです。縦糸と横糸をバランス良く張ることが最も大切です。縦糸を張りすぎてベテランは失敗していますし、横糸だけで初任者は失敗しています。

―学級づくりでポイントとなってくることのひとつに、クラスの中で雰囲気を乱していく「やんちゃ」への対応があります。本書でも詳しく解説されていますが、そのポイントについて教えてください。

 「やんちゃ」な子は目立つので、ついついその子たちばかりに対応してしまうことになります。これで失敗します。大切なことは、やんちゃ以外の「8割の子供たち」をはやく味方につけることなのです。そのための手立てを打つことが最も重要な、最初の手立てになります。

―本書の中で先生は、最初の授業での「学習規律」の重要性と、うまく授業を進めるために必要なことについて述べられています。子供たちのやる気を引き出し、全員参加を促すにはどのようなことが大切でしょうか。

 多くの先生方が「おしゃべり授業」をしてしまっています。授業の9割以上をしゃべってしまうのです。ほとんどの子供が傍観者になります。だから、教師は、おしゃべりを押さえて(9割を5割ぐらいにして)、子供たちに「活動」を多様に仕組んでいくようにします。「活動」とは、ノートに書いたり、ペアやグループで話し合ったり、列指名で全員にどんどん発言させたりすることです。いつも「全員参加」をさせておくことを心がけておくことです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 「新卒教師時代を生き抜くシリーズ」は今回で4冊目になりました。この4冊を読めば、大学で学ばなかった大切なことをほとんど知ることができます。問題は、どれだけ実践するかどうかにかかっています。がんばってください。

(構成:及川)

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