子どもの規範意識を育てる
子育て支援の方程式

子どもの規範意識を育てる子育て支援の方程式

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家庭と学校と地域が育てたい子ども像にどう関わるかの筋道を示す

子育てが難しい時代となりました。親の学校への苦情が増えています。親のしつけの責任は棚に上げ、子どもを悪くしたのは学校だ、と主張します。果たしてそうか、本書は@今の子どもと親のおかしさ、A家族の絆の創造、B子どもの規範意識を育てるなどを訴えます。


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ISBN:
978-4-18-926610-5
ジャンル:
その他教育
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
序章 親の生き方(学習スタイル)を大転換させよう
一 逆算の発想とは
二 積み上げ方式とは
三 フリーターを生む積み上げ方式
四 逆算の発想をもった学習スタイルの形成
1 学習意欲を高める方法
2 四つの学習スタイル─山張りタイプを育てよう
T章 今の子どもと親のおかしさは何か
一 子どもの「大人化」が進む
1 子どもが大人と同じ行動パターンをとる
2 子どもが手帳を持ち始める
3 子どもが栄養ドリンクを飲む
二 ギャングエイジを体験しない三、四年生
1 非行少年はギャングエイジを体験していない
2 今「手のかかる」のは三、四年生
三 漢字を書けない子どもたち
1 漢字は読める子どもたち
2 「書く」力はなぜ低いのか
四 バレーボールができない中学生
1 中学の体育の授業場面
2 中学生の対応能力の低下
五 運動能力の何が低下したのか
1 千葉市の調査結果
2 子どもの行動半径が狭まる
六 急増する困った親たち
1 モンスターペアレンツの出現
2 なぜモンスターペアレンツが増えたか
3 「公」の観念が崩れている
4 モンスターからサポーターへ
U章 家族の絆の創造
一 お宮参りはなぜ行うか
二 へその緒を渡す儀式を復活させよう
三 父親の役割は何か─チンパンジーのボスに学ぶ
1 チンパンジーとサルはどこが違うか
2 チンパンジーのボスの役割
四 父親業の「切る論理」を学ぼう
1 母は生物学的な親、父は社会学的な親
2 母は「包む」論理、父は「切る」論理
五 日米の父親のしつけは同じ
1 武士の父親は何をしたか
2 カウボーイの父親の役割
六 親子の絆はどのようにして生まれるか
1 母親と父親の違いは何か
2 動物の世界では親子の絆はどうして生まれるのか
七 どんな母親がよいか
1 母親像がぐらつき始めている
2 代理ママの実験
八 父親と母親はどんな役割をとればよいか
1 浪人生のどんな調査か
2 どんな言葉が返ってきたか
九 子どものクライシスにどう向き合えばよいか
1 子どものクライシス(危機的場面)
2 思春期の反抗期がもつ意味
一〇 大学生はどんな家庭で育ってきたか
1 大学生が育った家庭はフレンドリー
2 自己が安定していない学生
3 どんな家庭で育つとよいか
一一 未婚の男女はどんな特徴があるか
1 未婚の若者の特徴
2 未・非婚の男女が育った家族
一二 家庭の教育力回復の可能性─教育力は低下したか
V章 子どもの規範意識を育てる
一 社会性を育てるポイント
1 今の子どもの何が問題か─行動半径が狭まった
2 子どもの規範崩れが進む
3 社会性を育てるポイント
二 家庭でできる規範づくり
1 家庭・地域の規範崩れ
2 子どもの疑問・質問に答えよう
三 規範づくりのささやかな運動
1 地域での規範づくりが進む
2 連絡帳で「ルール」づくり
四 社会全体で子どもを守る仕組みづくり
1 子どもの携帯電話保有と利用の実態
2 子どものネット利用に戸惑う親たち
3 子どもをネット犯罪から守るポイント
五 いじめ問題に「おやじ日本」が登場─おやじの会の全国組織誕生
六 シングルマザーの親子を支援する活動
1 増加するシングルマザー
2 体験と食生活を豊かにする支援
七 現代版「子ども宿」を作ろう
八 全寮制の公立中学校を作ろう
W章 食育のすすめ
一 食の乱れとは何か
二 偏食は何をもたらすか
三 学校給食を見直そう
1 食の作法を補完している
2 給食はおいしい
3 給食は栄養格差を是正する
四 食生活のリズムを回復させる
1 間食をなくす
2 給食で子どもの偏食を直す方法
五 「食卓」の風景が子どもを育てる─子どもが作る「早寝早起き朝ご飯」運動
1 「早寝、早起き、朝ご飯」はなぜよいか
2 生活リズムの確立をめざして
六 朝食は和食がよい理由─その1
1 どんな朝食調査をしたか
2 朝食は米飯が勝負
七 朝食は和食がよい理由─その2
1 和食の子どもの生活行動
2 なぜ朝食は和食がよいのか
終章 これからの子ども像としつけの方向
一 子どもの「事実」を大切にしたしつけをしよう─「愛情」と「技術」のコラボレーションで子どもの力がつく
1 「子ども中心主義」の教育とは何か
2 「子ども中心主義」教育の落とし穴
二 放課後子どもプランはなぜ必要か
1 放課後は「自由経済」、学校は「計画経済」
2 放課後子どもプランで体験量格差を是正
三 やんちゃ坊主・やんちゃ娘を育てよう
1 子どもの「やんちゃ」とは
2 「お利口さん」はよくない
四 シュートを打つ子どもを育てよう
1 ミーティングができない日本の青少年
2 横パスをするフォワード
あとがき

まえがき

 子育てが難しい時代になりました。「親がなくても子どもは育つ」という言葉の復活が望まれる時代になりました。確かに、三〇年ほど前までは地域の底力(潜在能力)がありました。家庭のしつけが足らないところは地域と学校がカバーしていました。

 子どもが群れて遊び、子ども集団ができていました。地域子ども会も活発でした。そして夏祭り、秋祭りという年中行事も盛んでした。住んでいる人同士、お互いの顔と名前が一致し世間が成立していました。だから、子ども同士、親同士の絆が生まれ地域はまとまっていました。

 また、学校も尊敬されていました。「塾に行かなくてもよいです。勉強は学校に任せなさい」という校長がいました。当然しつけの不十分な子どもは教室の集団の中で再教育していました。学校は子どもを鍛え治し一人前にする社会化の働きがありました。だから、学校に苦情を訴える親がいても、毅然とした対応を取っていました。

 ところが、ここ二〇年間子どもと親と地域が変わってきました。簡単に言えば、子どもの「食べっぷり」と「遊びっぷり」と「つきあいっぷり」が低下しているのです。この三つの「ぷり」をもった子どもは生きる力があるのです。仮に親をなくしても生きていける基本的な資質が身についています。

 そして、親が子育てを放棄し学校を尊敬しなくなりました。極端にいうと子育てを外注する(アウトソーシング)傾向にあるのです。しつけを保育所や幼稚園、小学校に押しつけ始めています。それが無理ならば、外部の教育機関に一定期間通わせたりします。その典型が朝の学校給食の要求です。

 親は学校に依存するだけで尊敬はしないのです。学校への苦情が増えています。確かに学校の対応のまずさはあります。毅然とした対応が取れていません。説明責任を回避しがちです。親たちはそこにつけ込みます。執拗に苦情を訴え学校の責任を追及します。親のしつけの責任は棚に上げ、子どもを悪くしたのは学校だ、と主張します。


 こうした状況に手をこまねいていてはいけません。何とか子育ては楽しくてやりがいのある仕事だ、という想いが生まれる環境と仕組みづくりが緊急の課題です。冒頭に述べた「親がなくても子は育つ」とか「子育ては手抜きである。しかし気を抜くな」、「子は親の背中を見て育つ」という言い伝えが実行できる子育て支援が求められています。

 本著は、子育てを支援し、これから日本を始め世界に羽ばたく子どもをどう育てればよいか、の方向性を示しました。忌憚のない御批評を期待します。


  平成二一年二月

著者紹介

明石 要一(あかし よういち)著書を検索»

昭和23年1月生まれ,大分県姫島村出身

東京教育大学大学院博士課程単位満期取得退学

教育社会学専攻

昭和51年千葉大学赴任

平成5年教授

第16期文部科学省中央教育審議会専門委員

平成13年千葉大学学長特別補佐

平成15年文部科学省中央教育審議会スポーツ青少年分科会臨時委員

平成15年文部科学省生涯学習分科会臨時委員

平成17年千葉大学教育学部学部長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
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      2023/2/3まる

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