- 特集 自他のよさに気づくミニエクササイズ&活用講座
- 【巻頭】自己受容・他者受容とエンカウンターの役割 /吉澤 克彦
- 自他のよさに気づくエクササイズづくりの提案
- 自己受容を深めるオススメのアイデア /八巻 寛治
- 他者受容を深めるオススメのアイデア /稲垣 応顕
- 子ども同士の共感性を促進するオススメのアイデア /藤井 弘
- 自他のよさに気づくエクササイズのバリエーション
- 朝の会で手軽に取り組めるミニエクササイズのアラカルト /豊福 聡
- 帰りの会で手軽に取り組めるミニエクササイズのアラカルト /佐藤 克彦
- 学級活動の時間で手軽に取り組めるミニエクササイズのアラカルト /吉田 正太朗
- 道徳の時間で手軽に取り組めるミニエクササイズのアラカルト /植草 伸之
- 自他のよさに気づく特選ミニエクササイズと展開
- 低学年
- 1年・自分大好き,みんな大好き! /松本 京子
- 1年・友だちとつながるって楽しいね! /今市 清美
- 2年・増やそう「いいとこリーフ」 /和澄 洋子
- 2年・認め,認められる学級づくり /塙 佐敏
- 中学年
- 3年・友だちはいいものだ /小野 芳枝
- 3年・“かがやき”チャンピオンをさがせ! /松永 裕子
- 4年・温もりを求めている子供たちに /石川 明代
- 4年・リフレーミングで自己理解・自己受容 /表 八栄
- 高学年
- 5年・豆まきを利用したお悩み相談エンカウンター /阿部 洋治
- 5年・「○○といえば」―友達発見から自分発見へ /光原 正則
- 6年・自分はどう思われているか知る /大石 淳一
- 6年・人とのふれあいを感じよう /平林 かおる
- 中学校
- 1年・態度で示そうよ /津村 誠
- 1年・日常生活の出来事で,感謝することから取り組む! /桑野 淳二
- 2年・発見!意外な自分・意外な友達! /柴田 祥宏
- 2年・失敗する自分を好きになる! /生稲 勇
- 3年・自分や他人の良さを再確認 /島尾 永治
- 3年・シェアリングで心を伝え合う /浅井 好
- 第2特集 初心者・ベテラン知って得するエンカウンターの活用講座
- コーナー1 朝の会・帰りの会のお役立ちエンカウンター・アラカルト
- 低・短い時間で相互受容の場を /鈴木 紀子
- 中・すきま時間を活用して /中島 咲子
- 高・たかが20分,されど20分 /山宮 まり子
- 中学・“朝エン”で明るいスタートを /山崎 明彦
- コーナー2 学級活動の時間のお役立ちエンカウンター・アラカルト
- 低・「すきなものなあに」で仲間意識の実感を /若井 廣子
- 中・係活動に一人一人のよさを生かす工夫 /伊東 和範
- 高・年間計画に位置づけて効果的活用を /平野 修
- 中学・お互いを認め合う学級づくり /橋 俊裕
- コーナー3 教科の時間のお役立ちエンカウンター・アラカルト
- 低・いい汗かいて,みんな仲よし! /長谷部 弘美
- 中・保健学習と心の学習の連携 /増子 由美子
- 高・意欲を高め,授業に楽しく取り入れる方法とは /大歳 美恵子
- 中学・傾聴法を取り入れた国語科 /羽賀 正道
- コーナー4 子どもが主役のエンカウンター・アラカルト
- 低・みんなにこにこ,ことばのおくりもの /下島 まさ子
- 中・心の中に「気付き」を生み,自分そして友達理解へ /中小路 勝也
- 高・話し合い活動(クラス会議)にエンカウンタースピリットを /小林 靖直
- 中学・授業参観の時に行うエクササイズ /西片 宣明
特集のねらい
最近エンカウンターをやっていて気になることが二つある。
一つは,自分を肯定的にとらえることができない児童生徒の多さである。「自分が嫌い」,「いいところなんてない」と言うのである。
例えば,「私は私が好きです。なぜならば〜」というエクササイズがある。グループの中で,自分のよいところを順番に並べていく単純なエクササイズである。ところが,これがなかなかうまくいかない。少なからぬ生徒が自分のよいところを一つも挙げることができないのだ。様々な面を持った自分自身をなかなか I am OK.とは思えないのだ。この,自己肯定感の低さは,近年の様々な教育課題の背景であるとも言える。例えば,自分が好きになれないから,自暴自棄になる,現実逃避する,将来の夢が描けないなどである。
そんな児童生徒に,自分自身のよさに気づいたり,自分自身を肯定的にとらえることができるようになるエクササイズを試みたい。すなわち自己受容のエンカウンターである。
二つ目は,他者を受け入れようとしない児童生徒のかたくなさである。「あの人とは合わない」,「いっしょにいたくない」という感情をいつまでも持ち続けて,自分自身の友人関係や世界を狭めてしまうのである。
例えば,「それがあなたのよいところ」というエクササイズがある。グループ内の一人一人について,よいところを書いてあげるというエクササイズである。これがやれないのだ。「どうしても書きたくない子がいる」,「あの人のことは書けない」と平然と言うのである。自分とは考え方,行動パターン,感情表現の仕方が違うクラスメートを You are OK. と許容できないのである。人間関係がこじれているのではない。ただただ受け入れることができないだけなのだという。思春期の一時期,親に嫌悪感を抱いたり反発したりするのと似た感情であるようにも思う。
そんな児童生徒に,自分と他者の関係を見つめ直したり,よいところを見つけ,受け入れたりするエクササイズを試みたい。すなわち他者受容のエンカウンターである。
自己受容と他者受容は,表裏一体のものである。今回の特集で,I am OK. You are OK. みんな違ってみんないいということを体感できるエクササイズを紹介し,自己肯定感が低い子,他者を受け入れようとしない子を支援できる提案となればと思っている。
編者 /八巻 寛治 /吉澤 克彦
-
- 明治図書