- まえがき
- T 改訂のねらいと基本方針
- 1 教育課程の改訂の基本的な考え方
- 2 中学校理科の現状について
- 3 中央教育審議会の答申
- 4 改善の具体的要点
- 5 今回の改訂の特徴
- 6 今後の理科教育の方向
- U 改訂中学校理科の構造
- 1 全体構造
- 2 新規指導事項について
- 3 重点指導事項について
- 4 年間指導計画の作成と具体例
- V 中学校理科の改訂の解説
- 1 理科の目標
- 2 第1分野の目標
- (1) 身近な物理現象
- ア 光と音
- イ 力と圧力
- (2) 身の回りの物質
- ア 物質のすがた
- イ 水溶液
- ウ 状態変化
- (3) 電流とその利用
- ア 電流
- イ 電流と磁界
- (4) 化学変化と原子・分子
- ア 物質の成り立ち
- イ 化学変化
- ウ 化学変化と物質の質量
- (5) 運動とエネルギー
- ア 運動の規則性
- イ 力学的エネルギー
- (6) 化学変化とイオン
- ア 水溶液とイオン
- イ 酸・アルカリとイオン
- (7) 科学技術と人間
- ア エネルギー
- イ 科学技術の発展
- ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
- 3 第2分野の目標
- (1) 植物の生活と種類
- ア 生物の観察
- イ 植物の体のつくりと働き
- ウ 植物の仲間
- (2) 大地の成り立ちと変化
- ア 火山と地震
- イ 地層の重なりと過去の様子
- (3) 動物の生活と生物の変遷
- ア 生物と細胞
- イ 動物の体のつくりと働き
- ウ 動物の仲間
- エ 生物の変遷と進化
- (4) 気象とその変化
- ア 気象観測
- イ 天気の変化
- ウ 日本の気象
- (5) 生命の連続性
- ア 生物の成長と殖え方
- イ 遺伝の規則性と遺伝子
- (6) 地球と宇宙
- ア 天体の動きと地球の自転・公転
- イ 太陽系と恒星
- (7) 自然と人間
- ア 生物と環境
- イ 自然の恵みと災害
- ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
- W 指導計画の作成と内容の取扱い
- 1 指導計画作成上の配慮事項
- 2 各分野の内容の指導
- 3 事故防止,薬品などの管理及び廃棄物の処理
- 4 コンピュータなどの活用
- X中学校理科の実践課題と具体例
- (1) 観察や実験,野外観察の重視
- (2) 観察や実験の結果を分析し,解釈する学習指導
- (3) 自然の事物・現象を探究する
- (4) 原理原則の理解を深めるものづくり
- (5) 継続的な観察,定点観測
- (6) 博物館や科学学習センターなどとの連携
- (7) 道徳教育との関連
- (8) コンピュータや情報通信ネットワークの活用
- (9) 化学変化とイオンの授業
- (10) 生命の連続性の授業
- 付録・中学校学習指導要領「理科」
まえがき
平成20年3月,小・中学校の新しい学習指導要領が公示された。新学習指導要領は平成18年12月に約60年ぶりに改正された教育基本法や平成19年6月に公布された学校教育法の一部改正などを踏まえ,「生きる力」をはぐくむと言う学習指導要領の理念を実現するため,その具体的な手立てを確立する観点から改訂が行われた。
改正教育基本法においては,新たに教育の目標等が規定されるとともに,学校教育法においては教育基本法の改正を踏まえて義務教育の目標が具体的に示されるとともに,小・中・高等学校においては,「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに特に意を用いなければならない」と定めた(第30条第2項,第49条,第62条)
学習指導要領は,学校教育法に規定する各学校段階の目的・目標規定に従って文部科学大臣が定めることになっている。このため,各教科等の具体的な教育内容の改善に当たっては,教育基本法第2条(教育の目標)や学校教育法第21条(義務教育の目標)等の規定を踏まえて改訂された。
新学習指導要領は「生きる力」(確かな学力,豊かな人間性,健康と体力のバランスをもった指導)の理念は踏襲しつつ,包括的には,次の3点が強調された。
@基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得
A習得した知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力の育成
B学習意欲
改正教育基本法等を踏まえた新学習指導要領は,具体的には,
@「生きる力」(21世紀の知識基盤社会をたくましく生き抜く力)の理念の共有
A基礎的・基本的な知識・技能の習得(教えて考えさせる,教えて基礎・基本を身に付けさせるなど)
B思考力,判断力,表現力の育成(観察・実験の過程や結果についての解釈・分析・考察・筋道立った論述など知識・技能を活用する学習活動の充実)
C確かな学力を確かなものにするために必要な授業時数の確保(学習指導要領では理科教育を充実させるため,理科の授業時数を小学校で2割,中学校で3割増やしている,さらに平成21年度からの移行措置期間に先行実施がなされる)
D学習意欲や学習習慣の確立(理科で学んだことが社会や我々の生活等とどうかかわっているか,理科を学ぶ意義はどこにあるのかなど)
E豊かな心や健やかな身体の育成のための指導の充実などを挙げ
教育内容に関する主な改善事項は,
・言語活動の充実,・理数教育の充実,・伝統や文化に関する教育の充実,・道徳教育の充実,・体験活動の充実,・小学校段階における外国語活動等
を挙げるとともに,社会の変化への対応の観点から,教科等を横断して改善すべき事項として,情報教育,環境教育,ものづくり,キャリア教育,食育,安全教育,心身の成長発達についての正しい理解を求めている。
このうち,理数教育の充実については,我が国における児童・生徒の国内外の学力調査等の結果を踏まえ,科学技術の世界的競争激化の中で,理数教育の質・量両面の充実が必要であり,知識・技能の確実な定着,思考力,表現力等の育成のための観察や実験,レポートの作成や論述等を行うために必要な授業時数を確保するとともに,国際的な通用制,内容の系統性等を踏まえ,指導内容を充実するとしている。
本書は,学校現場でより一層充実した理科指導が行われることを期待して,新学習指導要領の作成や同指導書の作成に当たった関係者の協力によって作成されたものである。本書を活用することによって新学習指導要領の精神が生かされるよう期待するものである。
2008年12月 /山極 隆
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- 明治図書
- 具体的な実践があるとなおよかった2017/3/2830代・中学校中堅