- まえがき
- T 改訂の基本方針とそのポイント
- 1 中央教育審議会答申と改訂の基本方針
- 2 社会科の内容改訂のポイント
- 3 学習指導要領改訂のポイント
- U 改訂の10のキーワード
- 1 “足下から”と“広い視野から”
- 2 伝統や文化の継承・発展
- 3 社会形成力・参画力の基礎
- 4 協働思考を伴う問題解決
- 5 思考と表現の一体化
- 6 社会的な見方や考え方
- 7 知識や技能の確実な習得と活用
- 8 地域資源の保護・活用
- 9 国土学習の充実
- 10 社会の変化への対応
- V 新社会科の設計図と地域・学校プラン作成のヒント
- 1 新社会科“全体の構造”
- 2 生活科,中学校社会科との関係図
- 3 地域・学校プラン作成のポイント
- 4 年間指導計画の作成と参考例
- W 各学年の基礎・基本と授業設計
- ■1 第3学年及び第4学年「地域学習」
- 1 目標の解説
- 2 内容の解説と展開例
- (1) 「身近な地域や市の様子」の学習
- (2) 「生産や販売の仕事」の学習
- (3) 「飲料水,電気,ガスの確保や廃棄物の処理」の学習
- (4) 「災害や事故防止」の学習
- (5) 「むかしのくらし・地域の先人の働き」の学習
- (6) 「わたしたちが住んでいる県」の学習
- ■2 第5学年「国土と産業の学習」
- 1 目標の解説
- 2 内容の解説と展開例
- (1) 「我が国の国土の自然などの様子」の学習
- (2) 「我が国の食料生産と国民生活」の学習
- (3) 「我が国の工業生産と国民生活」の学習
- (4) 「我が国の情報産業や情報化した社会の様子」の学習
- ■3 第6学年「歴史と政治と国際理解の学習」
- 1 目標の解説
- 2 内容の解説と展開例
- (1) 「我が国の歴史」の学習
- (2) 「我が国の政治の働き」の学習
- (3) 「世界の中の日本の役割」の学習
- X 新社会科の授業実践に向けた“10の実践課題”
- 1 『伝統と文化の充実』のために,どのような指導を重視すればよいか
- 2 『法やきまり』について,どのように扱えばよいか
- 3 『価格や費用』など経済に関する基礎となる内容を,どのように扱えばよいか
- 4 『地域資源の保護・活用』について,どのような地域を取り上げればよいか
- 5 『自然環境に適応した生活』について,どのように扱えばよいか
- 6 『自然災害の防止』について,どのように扱えばよいか
- 7 『情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり』について,どのように扱えばよいか
- 8 『世界に関する内容』について,どのような指導が求められるか
- 9 『47都道府県の名称と位置』が確実に身につくようにするには,どうすればよいか
- 10 『地図帳や地球儀の活用』に関する指導のポイントは何か
- Y 現場発! 新プラン“7つの授業提案”
- 1 「災害や事故防止のための地域の人々の協力」の授業プラン
- 2 「自然環境や伝統文化などの地域資源の保護・活用」の授業プラン
- 3 「地域の社会生活を営む上で大切な法やきまり」の授業プラン
- 4 「情報ネットワークの有効な活用」の授業プラン
- 5 「自然災害の防止」の授業プラン
- 6 「世界文化遺産を取り上げた歴史学習」の授業プラン
- 7 「社会保障を取り上げた政治学習」の授業プラン
- Z 激変する社会の要請に応える“10の研究課題”
- 1 “持続可能な社会の構築”のために,どのような内容を重視すればよいか
- 2 “社会参画の基礎”を培うために,どのような授業改善が求められるのか
- 3 “情報教育の充実”のために,どのような授業改善が求められるのか
- 4 “環境教育の充実”のために,どのような内容を一層重視すればよいか
- 5 “防災教育の充実”のために,どのような授業改善が求められるのか
- 6 “望ましい勤労観,職業観”育成のために,どのような授業改善が求められるのか
- 7 “食育の充実”のために,何を一層重視すればよいか
- 8 “観光立国,海洋基本法などの新しい動き”に,どのように対応したらよいか
- 9 “総合的な学習の時間との関連”を,どのように図ればよいか
- 10 “道徳教育との関連”を,どのように図ればよいか
- 付録 小学校学習指導要領「社会」
まえがき
中央教育審議会答申(平成20年1月)を受けて,平成20年3月に新しい学習指導要領が告示されました。ここでは,これからの学校教育においても,子どもたちに「生きる力」をはぐくむという基本理念は変わらないとしています。
今回の学習指導要領は,改正された教育基本法や学校教育法等の理念を踏まえ,子どもの発達上の課題や社会の変化に対応して改訂されました。教育基本法第2条(教育の目標)や,学校教育法第21条(義務教育の目標)には,従来から規定されていた個人の価値の尊重,正義と責任などのほか,公共の精神,生命と自然を尊重する態度,伝統や文化を尊重し,我が国と郷土を愛するとともに,国際社会の平和と発展に寄与する態度を育てることが新たに規定されました。今回改訂された学習指導要領の特色の一つは,こうした関連法規に示された教育の目標の内容を実現させる観点が重視されていることです。
今回の学習指導要領は,さらに次のような基本方針のもとに,各教科等において教育内容が見なおされ,改訂されました。
・基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させることが重視されたこと。
・思考力・判断力・表現力等の育成を重視するとともに,それらの基盤となる言語の能力の育成につながる言語活動の充実が図られたこと。
・確かな学力を確立させるために,国語,社会,算数・数学,理科,体育,外国語(英語)を中心に,必要な授業時数が確保されたこと。
・子どもの学習意欲を向上させ,学習習慣を確立することが求められたこと。
・豊かな心や健やかな体を育成するために指導の充実が図られたこと。
前述した関連法規の規定や改訂の基本方針は,社会科改訂の基本方針にもつながっており,これからの社会科授業のあり方や方法を考えるうえでも重要な内容です。
学習指導要領は,学校関係者によってその趣旨や内容が正しく理解されるとともに,それがすべての学校や学級において実践され,すべての子どものなかに実現されてはじめて意味をなします。
本書『小学校新学習指導要領の展開 社会科編』では,社会科の学習指導要領の本文はもとより,それを解説した内容(解説書)を踏まえて,これからの社会科授業のあり方や方法等についてわかりやすく説明するとともに,各学年,各単元(小単元)ごと指導計画例を具体的に示しました。
本書が各学校で有効に活用されることにより,社会科授業で求められている基礎的・基本的な知識や概念を習得させることはもとより,観察や資料活用の技能,社会的な思考・判断の能力,さらには表現力などが育成される社会科授業が展開されることを心から願っています。このことが,社会科において「生きる力」をはぐくむことであり,義務教育の目的である,国民一人一人の人格を形成し,国家・社会のよき形成者を育成することにつながると信じるからです。
おわりに,本書の編集に当たっては,大勢の先生方の協力をいただきました。この場を借りてお礼申しあげます。また,企画の段階から,明治図書出版の樋口雅子氏からはいろいろと貴重なご助言をいただきました。併せて,感謝の意を表します。
平成20年10月 編 者
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- 明治図書
- 新ではなく、現行指導要領の社会科の経緯などを知りたかった。このことがあって、現在へとつながっているということが分かった。解説もあり、具体的な単元で指導がもあり、分かりやすかった。2018/7/740代、支援学校教諭