- まえがき
- 指導事典の使い方
- T 短距離走・押さえておくべき指導
- ■低学年/かけっこ指導
- @正しく「立つ」「歩く」が走りを速くする /持木 信治
- A1年生も熱中「ねことねずみ」 /斉藤 奈美子
- B初めての徒競争での指示はこれだ! /溝端 達也
- ■中学年/かけっこ指導
- C8秒間走で走る醍醐味を味わう /伊藤 道海
- D楽しく走って体力アップ /前島 康志
- Eラダーを活用して敏捷性を高める /中村 厚志
- ■高学年/短距離走の指導
- F教師の明確な判断と評価で子どもが変わる /青木 英明
- Gストライドを磨け! /森 康行
- H3本柱(趣意説明・システム・成功体験)を意識する /根津 盛吾
- I熱中する課題ゲームの条件は4つある /根津 盛吾
- J短距離走はスタートから /谷岡 眞史
- Kなぜその運動をするのか具体的な指示・説明が必要である /桑原 和彦
- ■走の基本・論文審査
- L3つの意識で高まる「走る能力」 /小田 誠
- M足の遅い子もタイムを縮めることができた短距離走の指導 /常田 幸宣
- U リレー指導
- ■低学年/リレー指導
- @次走者につま先の向きを意識させる /木色 泰樹
- Aこの運動で基礎感覚を育てる /細川 晃
- B楽しく知的な運動を仕組んで統率する /川口 達実
- Cゲームで仲良く,マナーも学ぶ /伴 一孝
- D「1年・宝運び競争タイムリミットは40秒」の指導 /根本 正雄
- ■中・高学年/リレー指導
- E変化のある繰り返しで,男女が仲良くなるリレーゲーム /中川 隆芳
- F熱中する授業とは? 実践「宝運びリレー」 /石橋 健一郎
- G何度でも楽しめるリレー /竹森 正人
- Hバトンパスはトップスピードで /波多 野匠
- I全員がヒートアップするリレー /高本 英樹
- Jリレーは場面を限定して,早くトップスピードにさせる /浜井 俊洋
- V ハードル指導
- ■リズムよくハードルを越えるための指導
- @走り抜く感覚を大切にしたハードル走の指導 /高本 英樹
- Aリズムよく同じ足で踏み切る&ハードリング /伊藤 大介
- B跳び越え方→歩数→スピード感の順に指導する /村田 正樹
- C向山型ハードル走は,子どもが考えながら動く /細羽 正巳
- ■子どもの動きが変わる個別評定
- D「振り上げる足」の指導は個別評定で行う /川谷 貴浩
- Eハードルでの個別評定 /並木 孝樹
- コラム:ゴムマットを活用したハードル走リレー /根本 正雄
- ■9秒間ハードル走
- Fみんなが楽しめる9秒間ハードル走 /成重 幸一
- G論より証拠 /谷岡 眞史
- W 走り高跳び
- ■基礎感覚・基礎技能を身につけさせる運動
- @またぎ跳びの段階指導 /本吉 伸行
- A「視線」を意識して高く跳ぶ /岩田 史朗
- B年間通して続けることで跳ぶ技能を高める /木田 庄継
- ■子どもの動きを変える個別評定
- C振り上げ足の指導で個別評定する /並木 孝樹
- ■はさみ跳びを身につける
- Dはさみ跳びでより高く跳ぶ /竹森 正人
- Eスモールステップで助走のリズムを身につける /石田 博一
- Fスモールステップで成功させる3歩助走ジャンプ /松田 信吾
- G3歩助走と体のひねり /田村 弘之
- Hロイター板でハイジャンプへの道 /竹内 時男
- Iバーを跳び越すために何をマスターさせるか /上川 晃
- X 走り幅跳び
- ■基礎感覚・基礎技能を身につけさせる運動
- @たくさんの場をつくり,子どもに工夫をさせる /尾埼 文雄
- A授業の中で自然と跳躍力アップ /高橋 聡
- ■踏み切る技能を身につける
- B台上幅跳び /牛田 美和子
- C基礎的な4つのパーツを向上させる /牟田 卓生
- D「前へ」を「上へ」 /津戸 弘光
- E走り幅跳びの特性を3段階でとらえる /古川 光弘
- F走り幅跳びの指導のポイントは踏み切り足にあり /多田 圭孝
- Gフープを使って踏み切り前の沈み込みを /田村 弘之
- H基礎・基本を踏まえ,場を工夫する /原田 誉一
- I走り幅跳びは,終末局面から指導する /浜井 俊洋
- あとがき /木村 正章
まえがき
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
陸上運動の指導をどのようにしたらよいのかとよく聞かれる。体育授業ではなく、陸上競技会の指導である。
しかし、指導の原理や原則は同じである。指導がよければ、体育授業でも陸上競技会でも同じである。
本指導事典には、陸上運動の原理・原則に基づいた指導法が紹介されている。
短距離・リレーをはじめハードル走などの陸上運動の種目が低学年、中学年、高学年別に詳しく紹介されている。
先日テレビを見ていたら、運動会の徒競走のスタートの指導が行われていた。
「スタンディングスタートをするのですが、どちらの足を前に出したらよいか」という内容であった。
方法は簡単である。両足をそろえて立つ。次に体を前傾する。そのとき、前に出た足を前に出してスタートする。
なぜなら、前に出た足がきき足なので前にして強いキックをすれば、素早くスタートができるからである。
スタートでは、きき足を見つけることが指導のポイントになる。
どちらの足からスタートするかはとても大事なのである。
これはハードル走、走り幅跳び、走り高跳びでも同じである。きき足がわからないと踏み切りが強くできない。
だから、陸上運動ではきき足の指導を外してはいけないのである。
陸上運動はすべて片足で踏み切る。すべての種目が片足での運動である。
短距離走は片方が必ず地面についている。ハードル走は片足で踏み切り、片足で着地する。
走り幅跳び、走り高跳びも同様である。もし、両足で踏み切ったらどうだろうか。
競技会では両足の踏み切りは禁止されている。もし、両足で行えば失格になる。
陸上運動は、片足の踏み切りがポイントであることが理解されていれば、指導がとてもしやすい。
走り幅跳びで遠くに跳べない子どもがいたとき、踏み切りをチェックする。
遠くに跳べない子どもはつま先で踏み切っている。
足の裏全体での力強い踏み切りになっていない。そのために、足の裏全体で踏み切る指導をしていく。
また、踏み切りの一歩前が狭く、沈み込みができていない。
高く跳躍するためには、一度沈み込みをしなければならない。「沈み込みをしなさい」と言う必要はない。言葉で言っても子どもには伝わらない。
「踏み切り前一歩を広くしなさい」と指示すれば子どもの動きは変わっていく。
一歩前を広くするだけで沈み込みができ、強いキックができるようになるのである。
踏み切りをチェックすることがわかっていれば、指導方法も見えてくる。
踏み切りの指導は他の種目でも同じように大切なポイントである。
本指導事典をまとめるにあたりTOSS体育中央事務局の木村正章氏にご協力をいただき、感謝申し上げます。
もし,高学年担任になったら,
もし,陸上で研究授業をすることになったら・・・。
そんなとき,手元に置いておきたい本です。
「指導のすべて」というタイトルの通り,
様々な指導法を,様々な角度から編集した1冊になっています。
かなりおすすめです。