理科の基礎・基本 おもしろ授業入門

理科の基礎・基本 おもしろ授業入門

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本書のポイントは、@おもしろ理科授業の精神がわかるA教材開発・授業のやり方がわかるBおもしろ授業の基礎基本がわかるーのだ。


復刊時予価: 3,014円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-619916-7
ジャンル:
理科
刊行:
3刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 224頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

読者のみなさんへ
おもしろ理科授業のすすめ
T おもしろ理科授業とは
1 おもしろ理科授業とは
(1) 先生「おもしろかった!」
(2) おもしろ理科授業の例
2 おもしろ理科授業の条件
(1) おもしろ理科授業の第一条件
(2) おもしろ理科授業の第二条件
(3) おもしろ理科授業ができる教師の“技”10か条
(4) おもしろ理科授業を支える話術
3 “おもしろまじめ”が教育を変える
(1) 君は,“おもしろまじめ”か“まじめまじめか”
(2) “まじめまじめ”派から脱皮するには
(3) イイものはイイという立場で
(4) まずイイものをマネすることから
(5) 教師のための精神衛生法
U おもしろ理科授業のための教材開発
1 カルメ焼き教材化の経験から
2 サークルでの教材開発 ──食塩の液体をタップリと見せる
3 見つけたネタからすぐに行動へ
(1) 簡易モーターの製作
(2) 使い捨てカイロをつくる
4 「大きい」ことを考えてやってみる ──石油カンでできるならドラムカンでも
5 材質を変えたらうまくいった ──紙の箱で湯をわかす
6 技術的なことを大切にする ──電流回路の学習での導入課題
7 好奇心で探したグッズ
(1) 1984年に発売された世界一強力な磁石
(2) ネオジム磁石は,何に使えるか
8 誰もやってないならやってみよう ──ダイヤモンドの燃焼
(1) ダイヤモンドを燃やして,生徒たちに見せたい!
(2) ダイヤモンドは燃えない!
(3) ついにダイヤモンドが燃えた!
(4) ダイヤモンドを燃やす方法
9 こだわり抜いてみよう ──仁丹・アラザンの表面は銀
(1) 仁丹の表面の銀色は何?
(2) 仁丹を知らない子どもたち
(3) 衝撃的な金属との出会い
10 まとめとして「おもしろ実験の個人史」
(1) ぼくは「おもしろ理科授業」派
(2) 理科授業は未知への探求
(3) 「おもしろ実験」の原体験
(4) 理科授業における実験の役割
(5) おもしろ実験創出と推進の主体
V 教材構成と授業づくり
1 実験の効果を高めるのは教材構成(教材の選択と配列)である
2 教育内容や教材のとらえ直しを忘れるな
(1) 「技術」に走る前に教育内容や教材の考察を
(2) 教える内容は少なく,教材は豊かに
3 植物はどのような生物か
(1) 教育内容論
(2) 「光合成」発見史から
(3) どう課題をつくるか
4 植物の花と種子
5 動物の世界
6 「力」の授業プランづくりから1時間の授業へ
(1) お正月ボケの頭で力学教育プランづくり
(2) もちよった参考文献
(3) 静力学の教育で何をねらいにするか
(4) 1,2時間目,何をやるか
(5) ぼくの「力」の導入
W 授業のやり方と具体例
1 授業のやり方 ──理科授業運営法
(1) ドキドキワクワクした気持ちで授業にのぞむ
(2) 授業の基本型
2 授業の具体例1 ──ジュース1 kgを飲んだら体重は何g増えるか
(1) 保健室からガラガラと音をさせながら体重計を運んで
(2) 授業の展開
3 授業の具体例2 ──鉄球がプカプカ浮く液体
(1) 「密度」を物の浮き沈みで
(2) 授業の展開
(3) 砲丸だって水銀に浮く!
4 授業の具体例3 ──どんな気体でも液体にできる
(1) 液体窒素との出会い
(2) 授業の展開
■おもしろ理科授業の基礎・基本
X おもしろ理科授業の基礎・基本(1)
──植物
植物にとって,花は何のためにあるの?
ジャガイモやチューリップに本当に実はできるの?
花には雌しべ,雄しべの両方,あるいはどちらかは必ずある
実には花のなごりあり
受粉しなけりゃ実はできぬ
種には胚乳ありと胚乳なしのものがある
植物は,ほとんどの栄養分を葉でつくっている
植物の口は二つ。その間をつなぐパイプあり
Y おもしろ理科授業の基礎・基本(2)
──動物
昆虫も動物のグループの一員
昆虫の体のつくりは,ほぼ共通している
モンシロチョウの育ち方
動物は卵か子を産んで子孫を残す(親なし子はいない)
産みっぱなしと世話やきの場合の産卵数
ニワトリの卵とメダカの卵の共通することと違い
動物=生きることは食べること
直立二足歩行に都合のよい体つきのヒト
肺は自分で動かない
消化器官は体を貫く1本のチューブ
血液は栄養と酸素の運び役
血液には不用物を集めて捨てる役目も
赤ちゃんが生まれるまで
Z おもしろ理科授業の基礎・基本(3)
──物質とエネルギー
“物”は,重さと体積をもっている
物には,固体,液体,気体の三つの姿あり
「重い,軽い」に二つの意味あり
物の膨張と収縮
物のあたたまり方
水の状態変化
粒が目に見えたら気体ではない
「溶けた,溶けない」は透明になったかどうかで判断
ふつう溶ける量には一定の限度あり
結晶を取り出す
水溶液と酸性・アルカリ性
酸素
二酸化炭素
物の燃え方
てこでどうして力が得するの?
力で得しても損していることあり
バットひねり競争では太い方をもった人が勝ち
金属はよく電気を流す
電流回路
乾電池のつなぎ方
地球は大きな磁石
電磁石から鉄心を抜いても磁力はあるの?
物に電流が流れれば発熱する
振り子と1往復の時間
音は振り子と同じような運動で生じる
物が見えるとは?
光は直進する
光の反射・屈折
凸レンズは光の屈折を利用
[ おもしろ理科授業の基礎・基本(4)
──地球と宇宙
太陽は,地球が100万個以上入る大きさ
地球の自転でおこること
月の満ち欠け
星の1日の動き
北極星の探し方
星の1年の動き
北極星も動いている
太陽の高度と1日の地面の温度・気温の変化
雲と雨・雪,霧
日本の天気の特徴
流れる水のはたらき
地層のでき方
堆積岩の特徴
\ 新カリキュラムを創るための方法論
──米国ケムス化学を例として
序  問題の設定
第1章 プロジェクト推進の社会的背景
第2章 ケムス化学の開発過程
(1) スタートから4月期の会合まで
(2) 第一版の発行と試行まで
(3) 第二版の発行と試行まで
(4) 最終版の発行まで
(5) フィードバックによる改善点
第3章 教科書の編成原理
第4章 米国におけるケムス化学の評価
終 章 新教育課程創出の方法論確立を展望して
あとがきに代えて ──「逆転」可能な理科授業を

読者のみなさんへ

 本書は,左巻健男流おもしろ理科授業入門の書である。

 本書の土台になったのは,30年近い現場経験,現場発想からの小学校・中学校・高校理科教育の実践的な研究経験である。雑誌や今や絶版となった単行本の原稿を元に完全に再構成した。

 本書のポイントは,次の3つである。


 1 おもしろ理科授業の精神がわかる。

 2 おもしろ理科授業の教材開発,授業のやり方がわかる。

 3 おもしろ理科授業の基礎・基本の内容がわかる。


 教員生活の理想は,いそいそと恋人に会いに行くように学校に行くことができる,そして授業に向かうことができるということだ。ところがどうだろう。学校では,いろいろな問題が噴き出したり,教科の授業の構想を立てたりする余裕がなくなっているような状況がある。そんな現場の多忙化の中で,「初心」(たのしくわかる授業がしたいなど)を失っていないだろうか?

 理科授業は工夫次第で他の教科よりずっとおもしろ授業ができる有利さをもっていることを再確認したい。自然の秘密(構造,法則性,歴史)を少しずつ明らかにしてきたのが自然科学。秘密をあばくというのはどんなことでもおもしろい。子どもたちに自然を科学的に認識させるのが目標の理科の授業は,未知の世界の探究という側面を強調するならば,おもしろくないはずがない。

 それなのに子どもたちは上級学年にいくほど理科嫌いになっていくという状況がある。理科嫌いをつくるのは簡単である。おもしろ理科授業の逆をいけばいいのである。

○低いレベルの(本質性の低い)科学を教える。

○黒板とチョ−クでどんどん説明。

○なんのためにやっているかわからない実験。やらされていると感じる。

○自然の事物,現象のイメ−ジがわかないままに計算,計算。

 おもしろ理科授業は,科学する喜び,自然という未知の世界の探究の喜びを第一条件とする。

 とくに次のことが大切である。

○内容は,自然,自然科学にとって本質的なことか?

○教材の選択,配列は,子どものわかる道筋に合致しているか?

○自然に問いかけ,自然から教えてもらう実験か?

 おもしろ理科授業は,教師の生活を変える。なぜなら,「好奇心いっぱいにしておもしろい教材探しをするようになる」し,「ちょっと大変でもやりがいがある(子どもからの評判もいい)ので,授業の準備も苦にならない」からだ。

 教員自身がいつも新しいことを学習する姿勢を持ち続ける。理科授業の参考書はいろいろある。時には,これまでの授業内容,方法を否定して,新しい内容,方法へと向かう。それは,多くの経験年数を経た人であってもチャレンジしてほしいことである。

 理科の基礎・基本の内容は,とくに小学校レベルを想定している。しかし,中学校以上の教員の方々にも参考になると思う。

 巻末には修士論文の一部を収録した。国会図書館に何度も足を運び,英文と格闘して完成させた。今に,このような新カリキュラムづくりをしようと決意して,若き左巻健男は現場に出たものだ。


  2002年5月12日   /左巻 健男

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