- まえがき
- 第T章 本著のカリキュラムと特徴
- 本著のカリキュラム
- 数や計算技術が身につくまでの過程
- 第U章 基礎学習編
- 1枚の絵
- 1から10までの数
- 5ひきのねずみ
- 5までのタイル
- 6から10までのタイル
- 答えが5までのたし算
- 答えが5までのひき算
- 第V章 心の教育編
- 道徳(みんな ともだち)
- 道徳(こんなとき どうする)
- 第W章 発展編
- 1年生の算数プリントの説明
- (1) 1年生の算数プリント
- まとめテスト(T)・(U)
- 鉛筆を正しく握らせる方法
- (2) 1年生の国語プリント
- 解答
- 幼児期から小学校1年にかけて一人一人の考える力,感じる力をはぐくむ /押谷 由夫氏[昭和女子大学教授(元文部科学省教科調査官)]
- あとがき
まえがき
本著は,「7歳(小学校低学年)までの子どもに,どのような教育をすべきか」を具体的に書いたものです。
本著のモットーは「楽しく」,「分かりやすく」,「力がつく」です。
多くの「保護者」と「教育関係者」(幼稚園関係,保育園関係,小学校関係,養護学校等)の皆様にも読んでもらいたい本です。特に「保護者の皆様」に読んでもらいたいです。
7歳までは,大人が想像する以上にいろいろな能力が身につけることができる大切な時期です。例えばこの時期の子どもがアメリカに行くと,環境や個人差によっても異なりますが,比較的短期間で日常の英会話程度ができるようになります。このように子どもが伸びる時期だからこそ,理論に基づいた楽しい「教育」という刺激を与えることが大切ではないでしょうか。
7歳までの子どもを大きく3段階に分類すると「幼稚園や保育園に入園する前の段階」や「幼稚園や保育園に在園中の段階」,「小学校低学年の段階」になります。保護者は,子どもが幼稚園や保育園に入園する時も心配しますが,やはり一番心配するのは,小学校入学前後ではないでしょうか。
小学校では,規則正しい集団生活や幅広い異年齢との交流,評価を伴う学習活動等が行われます。そのような小学校生活をよりよく過ごしていくためには,事前に手だてをとっておく必要があります。
小学校生活をよりよく過ごしていくためには,算数と国語,そして,道徳を事前に学習しておくことをお勧めします。それは,「備えあれば憂いなし」ということわざがあるように,子どもが楽しくゆとりを持って学校生活を過ごすことができるからです。
子どもの発達は,その子どもの持っている本質的なものやその子どもを取り巻く環境などによって著しく異なります。学校現場では,それぞれの子どもの発達に合った教育を行っています。しかし,担任1人で40人前後の子どもを担当したり,複式学級では異学年の子どもを担当したりしながら,1人1人に合った教育を創意工夫しながら取り組んでいますが,完璧にそのような教育をするには限界があります。勿論,そのような環境を乗り越え,素晴らしい指導をされている先生方も数多くおられます。現状に関して非難しているのではなく,子どもの為に,今,誰が,どのような手だてをとることが大切なのかを訴えたいのです。
そこでポイントとなってくるのが,「保護者(家庭)」です。
保護者は自分の子どもに対して,大きな期待を持っています。期待を持つ以上,保護者は,保護者なりの手だてを我が子にとることが大切です。決して,学校教育のシステムを批判しているわけではありません。保護者と学校現場とが協力し合うことにより,子どもの健やかな成長(知育,徳育)を図りたいのです。
それでは,保護者はどのようなことができるのでしょうか。
自分の子どもに数の概念を教えたり,算数を教えたりすることは,大変難しいです。なぜ,難しいのかといいますと,それは正しい教え方をご存じでないからです。教え方には,プロセス(順序)やテクニックがあります。教え方のプロセス(順序)やテクニックは,何も難しくありません。本著を読まれた皆様は,きっと「なんだ,こんなふうに教えればいいんだ」と思うはずです。
昨今,子どもたちの基礎学力低下が大きな問題となっていますが,このような問題が起こっている時代だからこそ,「7歳までの教育」が大切になってくるのではないでしょうか。
本著には,6つのセールスポイントがあります。
(1) 保護者にも教育関係者にも指導しやすい内容になっています。
その教育活動の「ねらい」を明記しています。
誰でも指導しやすいように,「指導方法」を簡潔に明記しています。
(2) 指を使わなくてもたし算やひき算ができるようになります。
数を認識させるための手だてを系統的に掲載しています。
数の概念構成は,「具体物」(物)から「半具体物」(タイル)へ移行し,その後,抽象物である「数字」へとステップアップしていきます。このプロセスをきちんと押さえることにより子どもに数の概念構成を定着させることができ,指を使わなくてもたし算やひき算ができるようになります(個人差はあります)。
(3) 心の教育ができます。
「心の教育」とは,道徳のことです。
心温まる「絵本を使った道徳授業」や道徳性が問われる1枚の絵を見せ,「どうすべきか」を問う学習問題などを掲載しています。現実場面に即した内容になっていますので,即効性が期待できます。
(4) 鉛筆を正しく握れるようになります。
鉛筆を正しく握れないのは,「正しく握る方法を知らない」と「変なくせがついている」等が原因です。
安い材料(10円〜30円)を用いて,誰でも簡単に鉛筆を正しく握らせるマル秘テクニックを掲載(P )しています。
(5) 算数と国語の学習プリントを掲載しています。
算数プリントは,タイルを掲載していますので,単に頭で計算するだけでなく,計算の過程をタイルに色を塗ったり,丸で囲んだりすることより,目で確認しながら学習をすすめることができます。
国語プリントは,学校での学習に必要な文字の読み書きなどを,子どもが興味関心を持ち,取り組みやすい形式にしています。
(6) 本著のページを1枚ずつ切り離し,カードとして使用することが可能です。
本のまま使用されてもOKですが,ページを1枚ずつ切り離し,カードとして活用すると,問題を提示する際,提示しやすい面もあります。切り離したページが薄くて提示しにくいと感じた場合は,ラミネートをかけたり,厚手の画用紙に貼ったりする方法もあります。
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- 明治図書