21世紀型授業づくり116
子どもの「生きる力」を育てる食育ガイド

21世紀型授業づくり116子どもの「生きる力」を育てる食育ガイド

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食育本格化の前に必ず読んでおきたい基礎知識をまとめた。

本書は、解剖生理学と食物栄養学の専門家と教育心理学の研究者の協同による問題提起の書である。現代の子どもの食事情、「食育」という学校と家庭の新しい教育課題、子どもの食と栄養、栄養バランス、子どもの食習慣と健康・病気、子どもを取り巻く現代の食環境を解明する。


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ISBN:
4-18-229112-3
ジャンル:
その他教育
刊行:
5刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 200頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 現代の子どもの食事情
――子どもの食が危ない―― /平野 直美 /西川 貴子
1 子どもの食は油づけ!!
1 子どもたちの油好きの食生活は危険!
2 この40年で増えた脂質の摂取
3 子どもの好きな料理は脂質が多い
4 子どもの好むお菓子も脂質がいっぱい
5 子どもたちはマヨネーズが大好き
2 子どもたちはカタカナ食の外食が大好き
1 外食利用が増加している
2 食の外部化の背景
3 外食はカタカナ食で,油が多い
4 外食で子どもの味覚は大丈夫?
3 小児生活習慣病予備軍を招く脂肪の多い食事
1 小児生活習慣病予備軍とは?
2 脂肪のとりすぎが招く,小児の高コレステロール血症
3 動脈硬化は小児期から始まっている
4 小児肥満の抱える問題
4 朝食を欠食する子どもたち
1 朝食を欠食する子どもたちの現状
2 脳のはたらきに影響を与える朝食の欠食
3 脳は大食漢!?
4 「朝食は必ず食べる」が基本!
5 孤食・個食・固食が増えている
1 子どもたちの食事は孤食が多い
2 孤食を望む子ども側の理由
3 孤食の弊害とは
4 家族そろっても個食?
5 さらに固食の心配も
6 偏食・小食・遊び食べ
1 子どもをめぐる摂食上の悩み
2 偏食・好き嫌い
3 小食・食欲がない
4 遊び食べ・むら食い
5 かめない子・かまない子
第2章 「食育」という学校と家庭の新しい教育課題
/長瀬 荘一
1 「食育」とは何か? 教育としての意味
1 「食育」は百年前に誕生した?
2 1960年〜1970年代に変動した日本人の食生活
3 「飽食」の時代から「崩食」の時代に
4 「食育」とは何か? 学校や行政における位置づけ
5 新聞や雑誌,NPO法人における「食育」
6 国が行ってきた「食育」の施策
2 2005年「食育基本法」が提起していること
1 「食育」は知育・徳育・体育の基礎となる
2 「食育」は国民の生涯にわたる課題
3 食に関する感謝の念と理解を深める
4 全国規模の食育推進運動を展開する
5 伝統的な食文化,環境と調和した食料生産を図る
6 家庭において「食育」を推進する
7 学校,保育所等において「食育」を推進する
8 地域において「食育」を推進する
3 食育を考えるための‘4W2H’とは
1 食育の基本になる‘4W2H’
(1) What(何を食べるか)という食育
(2) How much(どれほど食べるか)という食育
(3) When(いつ食べるか)という食育
(4) Where(どこで食べるか)という食育
(5) Who(だれと食べるか)という食育
(6) How(どのように食べるか)という食育
2 「サザエさん一家の食卓」が教えること
3 食育を確かなものにする五感体験
(1) 気をつけて食べる体験
(2) 美味しく食べる体験
(3) 正しく食べる体験
(4) 料理をする体験
(5) 配膳や後片づけをする体験
(6) 「もったいない」を感じる体験
(7) 「食料の60%が外国産」を実感する体験
4 子どもの食育で取り上げたい15課題
課題1 「栄養素や栄養バランス」について
課題2 「食材や食品の選択」について
課題3 「好ましい食習慣」について
課題4 「楽しい食環境」について
課題5 「美しい食べ方」について
課題6 「伝えたい食文化」について
課題7 「食の五感体験」について
課題8 「味覚の育成と異常」について
課題9 「食と健康や病気」について
課題10 「食と子どもの学力」について
課題11 「食と子どもの情操」について
課題12 「食の安全と安心」について
課題13 「食の生産と資源」について
課題14 「正しい食情報」について
課題15 「学校と家庭・地域の連携」について
第3章 子どもの食と栄養,栄養バランス
/西川 貴子
1 栄養バランスとは
1 まず1日3回食べること
2 バランスは1週間の単位でとる
3 いろいろ食べると「バランス」はバッチリ
2 栄養バランスのとれた食べ方のすすめ
1 食品の栄養的特徴を知ろう
2 1回の食事に主食と主菜と副菜を
3 食事バランスガイドを活用しよう
3 和食のよさを見直そう
1 和食と日本型食生活
2 「米」と「大豆」を組み合わせた日本人の知恵
3 子どもたちに和食のよさを伝えたい
4 「まごはやさしい」食のすすめ
4 インスタント食品,レトルト食品,お惣菜ものとのつきあい方
1 大量生産される加工食品
2 即席めんの生産量と消費量
3 冷凍食品・レトルト食品の生産量
4 加工食品の安全性
5 加工食品を上手に利用する
5 サプリメントとの正しいつきあい方
1 保健機能食品の分類
2 特定保健用食品とは
3 栄養機能食品(サプリメント)とは
4 表示義務
5 サプリメントを上手に利用する
第4章 子どもの食習慣と健康・病気
/平野 直美
1 子どもの生活習慣が乱れている
1 夜ふかしの問題点
2 「寝ない子」は太る
3 「早寝・早起き・朝ごはん」
4 子どもの生活習慣とメディア
2 子どものからだが危ない
1 急増するペットボトル症候群
2 スポーツドリンクにも注意がいる
3 咀嚼(そしゃく)力の低下
(1) 不正咬合(こうごう)・ディスクレパンシー
(2) 母乳保育と顎の発達
(3) 顎(がく)関節症の低年齢化
3 子どもの生活習慣病の予防と対策
――小児期からのメタボリック・シンドロームの予防――
1 肥満の予防と対策
2 小児の高脂血症の予防と対策
3 糖尿病の予防と対策
4 メタボリック・シンドロームを予防しよう!
4 食物アレルギー
1 なぜ食物アレルギーは増加するのか?
2 食物アレルギーのメカニズム
3 アナフィラキシーショック
4 新しいタイプの食物アレルギー
5 食物アレルギーとアレルギーマーチ
6 食物アレルギーは自然寛解するという希望をもって
5 子どもの脳を健やかに育む食生活
1 キレる子ども,イライラする子ども
2 情動のコントロールは脳の前頭前野のはたらき
3 「平常心」を保つセロトニン神経
4 セロトニン神経を鍛えるには太陽とリズム運動
5 心をつくるモノアミン
6 「心」をコントロールする神経伝達物質と食生活
第5章 子どもを取り巻く現代の食環境
/平野 直美
1 「飽食」の時代から「崩食」の時代へ
1 家庭での「崩食化」
2 「食」が軽視される時代
3 家庭での「食育」は家族一緒に食事をつくることから
2 子どもとダイエット
1 若い女性に多い「やせ志向」
2 間違ったボディ・イメージと理想体型
3 子どもの心の葛藤と摂食障害
3 社会にあふれる食の情報
1 フードファディズムとは?
2 フードファディズムの問題点
3 フードファディズムに負けない食教育
4 ファーストフードからスローフードへ
1 ファーストフード・スローフードとは?
2 日本における「地産地消」と「身土不二」
5 学校給食と栄養教諭の役割
1 栄養教諭制度スタート
2 栄養教諭の職務とは
3 栄養教諭に期待される役割
4 学校給食の役割
5 学校給食は生きた教材
第6章 子どもに教えたい食のスキルとマナー
/西川 貴子
1 お手伝いで学ぶ食のスキル
1 家庭の食卓は学びの場
2 五感を使う調理の体験
3 体験学習の大切さ
4 体験学習には大人のかかわり方が大事
5 体験は,偏食改善や予防につながる
6 週に1回でもお手伝いの日を
7 大人への食育も急務の課題
2 食卓でのマナー
1 日本のお箸文化
2 お箸の正しいもち方と箸使いのタブー
3 「ばっかり食べ」は和食のマナー違反
4 食卓のマナーの始まりと意味
3 「いただきます」「ごちそうさま」「もったいない」
1 「いただきます」「ごちそうさま」
2 人間だけが感謝して食べることができる
3 「もったいない」の心
4 「もったいない」食べ残し
第7章 食文化の伝承と家庭の味
/西川 貴子
1 家庭の味は子どもの心を育てる
1 家庭の味と「食文化」
2 楽しく食べることの大切さ――食の記憶は情動と一緒に記憶される――
3 食文化は子どもの「自尊感情」を育む
4 新奇性恐怖の克服には親がおいしく食べること
5 一手間かける愛情を
2 行事食の文化を伝える
1 行事食における食事の楽しさ
2 お正月のお節料理と雑煮のいわれ
3 ひな祭りと端午の節句
4 ハレからケになった「お赤飯」
3 旬の食材を家庭の食卓に!
1 旬の食品はおいしく栄養価が高い
2 遠距離の旬と地場の旬
3 旬を大事に変化のある楽しい食卓を
第8章 食の安全と食資源の問題
/平野 直美 /西川 貴子
1 フードマイレージと食の安全
1 フードマイレージ(フードマイル)とは
2 輸入食料品のマイレージ
3 輸入食品の安全性は?
4 リスクコミュニケーション
2 食料自給率
1 食料自給率とは
2 日本の食料自給率と各国の比較
3 食料自給率低下の原因
4 代表的な献立の食料自給率
5 消費者も自給率向上への認識と取り組みを
3 食品添加物と子どもの健康
1 スーパーやコンビニの食品は便利だが
2 毎日,朝ごはんをつくる母親のAさん
3 食品添加物の光と影
4 「たんぱく加水分解物」は子どもが大好きな味――本物の味が分からない子ども――
5 本物が分かる消費者になる
4 遺伝子組み換え食品の安全性
1 遺伝子組み換えとは何か
2 遺伝子組み換え植物
3 遺伝子組み換え食品の安全性
5 食品表示を知ろう
1 食品表示をみて賢い消費者に
2 賞味期限と消費期限
3 生鮮食品の表示
(1) 農産物(野菜・果物・豆類など)の表示
(2) 米の表示
(3) 畜産物(肉・卵)の表示
(4) 水産物(魚類・貝類・いか・たこ等,海藻類)の表示
(5) 牛乳の表示
4 加工食品の表示
あとがき

まえがき

 いま,空前の「食育」ブームである。

 新聞や雑誌の見出しを飾るだけでなく,書店に足を運ぶたびに食育の新刊を目にする。

 一口に「食育」といわれるが,本を開くと,アプローチの仕方はさまざまである。

 もっとも多いのが,調理や料理の専門家の立場から書かれたもの,次に,栄養指導の立場から書かれたものである。

 学校教育との関係でみると,家庭科教育や給食指導の延長線上で書かれたものが多い。

 一方,最近では,テレビ番組でも,食物と健康の話題に事欠かない。

 健康になる食べ物,病気にならない食事の工夫など,まるで一億総栄養士にでもなりそうな勢いである。

 国内外に目を向ければ,BSEや遺伝子組み換え食品など,食の安全が大きな社会テーマになっている。

 日本では,「食の外部化率」といわれる家庭の消費支出に占める外食の割合が高くなり,「中食(なかしょく)」といわれる調理済み食品をよく購入する実態もみられる。

 こうした社会現象をみると,もしかしたら「食育」は,人類の21世紀最大のテーマになるのかもしれない。


 そんななかで,2005年の夏,読売新聞が10日間にわたって「子どもの食」の特集を連載した。

 特集のタイトルは,

  「『野菜嫌い』授業で解消」「模索を続ける『栄養教諭』」「農家が先生 野菜作り」「肥満対策 待ったなし」「親子で歌い 意識改革」「給食は生きた教材」「メーカーも出張授業」「食育は幼少時から」「和食が育てる体と文化」「『味覚』作りは親次第」

であった。

 ここでは,わが国が,いま直面している食育の課題が浮き彫りになっている。

 本書は,このような,まさに食育が本格化しようとする時代状況のもとで誕生した。

 執筆者は,解剖生理学と食物栄養学を研究フィールドにする2人の食育専門家と,教育心理学を研究フィールドにする1人の素人である。

 本書では,各人の研究領域と人生経験を最大限に生かし,いま学校と家庭で求められている「食育」に迫ることにした。

 多くの方にお読みいただき,食育学が発展するために,不十分な点や率直なご感想をいただければ幸いである。


 最後に,本書の企画・刊行にあたっては明治図書出版の江部満氏に,とくに貴重なご指導とご助言をいただいた。この場をお借りして,厚くお礼申し上げたい。


  2006年4月   /長瀬 荘 一

著者紹介

平野 直美(ひらの なおみ)著書を検索»

神戸女子短期大学助教授(解剖生理学),医学博士

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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