学び続ける教師になるためのガイドブック 成功する学校改善プロジェクト編
〜上越教育大学流 教師力アップの極意〜

学び続ける教師になるためのガイドブック 成功する学校改善プロジェクト編〜上越教育大学流 教師力アップの極意〜

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スクールリーダー必携!「学校改善」成功の極意を直伝

上越教育大学の講師陣と改革に取り組んだ現場の先生方による「成功する学校改善」の秘訣!「荒れに挑む」「若手教師の授業力アップ」「思考力・表現力をつける授業づくり」「子どもの見取り」「ICT活用」などテーマ別の成功例とポイントを分かりやすくまとめました。


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PDF EPUB
ISBN:
978-4-18-196616-4
ジャンル:
学校経営
刊行:
対象:
小・中・大
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
第1章 実践と研究の往還を実現する学校支援プロジェクトとは?
1.はじめに
2.学校支援プロジェクトのねらい
3.学校支援プロジェクトの全体像
4.スケジュール
5.道のりは平坦ではない
第2章 生徒指導困難校における「荒れ」克服への取組
1.生徒指導困難校を支援するには
2.学校支援成功のシナリオ
3.赤坂チームの支援を受けて
4.成果をあげる学校改善の極意
第3章 若手教師の授業力を育むティーチャー・ローテーション・システム(TRシステム)
1.小規模校での授業力を育む問題点と解決策
2.学校支援成功のシナリオ(TRシステムの概略と連携)
3.桐生チームの支援を受けて
第4章 21世紀型能力への挑戦!論理的思考力・表現力を育てる国語科の授業づくり
1.論理的思考力の学習で何が大事なのか
2.学校支援成功のシナリオ
3.論理的思考力・表現力を育てる授業づくり
@小学1年
A小学3年
4.支援校から−授業者の声
第5章 「子どもの見取り」を基盤にした校内研修支援
1.はじめに−孝太君のこと−
2.学校支援成功のシナリオ
3.「子どもの見取り」能力を高めるツールの開発
4.学校支援を考えるT−支援校校長の立場から−
5.学校支援を考えるU−支援チームの立場から−
第6章 総合的な学習の時間の充実を目指した取組
―「見取り」に着目することによる教師の力量形成の試み―
1.総合的な学習と教師の力量形成
2.ここがポイント!学校支援の実際
3.連携協力校からみた学校支援プロジェクト
第7章 人が「つなぐ」,人を「つなぐ」
―チームである意義―
1.こんな課題にこう取り組む
2.学校支援成功のシナリオ
3.西川チームの支援を受けて
4.成果をあげる学校改善の極意
第8章 We(みんな)でつくる学校
1.Weなら楽しくできる
2.連携協力校の先生から
3.日常的にICTを活用した授業の構成

まえがき

 この本を手にとっているあなたは,おそらく現実の子どもたちの前で毎日授業をしている方だと思います。ありがとうございます。「本を読みなさい」と子どもに言っている教師の中でも活字離れは進んでいます。その中で本書を手にとったあなたは,今,課題を抱えていると思います。

 本書は,そんなあなたのための本です。

 本書では,様々な大学研究者が学校現場の抱えている問題を,学校現場の先生方と一緒になって解決する姿を紹介しております。紹介する事例は様々ですが,きっと今までの本にはなかなか書いてなかったことが書いてあります。なぜならば,本書は実践書ですが,学術研究に裏打ちされた実践書だからです。

 私が「専門職大学院」という言葉を耳にした日時と場所をはっきりと覚えています。それは平成16年8月4日の午前8時で場所は筑波のホテルの朝食会場です。ホテルで懇意の他大学管理職の方と一緒に朝食を食べたとき,「西川君,専門職大学院って知ってる?」と切り出されました。そこから聞いた話は驚天動地の内容でした。大学に戻って,設置案を考えさせてほしいと学長に直訴し認めてもらいました。

 しかし,本学が教職大学院を設置する場合,他大学にない不利な点が少なくありませんでした。第1は,上越市が県庁所在地ではなく,かつ,近隣に大都市がないという点です。第2は,上越教育大学が大学院を中心とした大学であるため,定員は他大学に比べて多いことが求められることです。そして,今後,教職大学院は全国に広がることが予想されます。

 つまり,近くだからという理由で入学希望する学生は期待できないのに,多くの学生が希望する大学院であらねばなりません。それも,単に「教職大学院」ということで本学に入学希望する学生はどんどん減るのです。

 そこで本学の教職大学院を計画する際に,常に最優先にしたのは本学だからこそできる,特色ある教職大学院を創ろうということです。

 私は上越教育大学に30年勤めていますが,上越教育大学は非常に変わった大学です。学部の定員が1学年160人であるのに対して,大学院の定員が1学年300人なのです。そして,大学院生の多くは全国から派遣される小学校,中学校,高等学校の現職教員です(以下,現職院生)。つまり,学部生と若い大学院生(以下,学卒院生)と現職院生が混在した大学です。

 私の研究室には若い学生と現職院生が所属しています。現職院生の姿を見ていると若い学生の扱い方が下手な人が少なくないのです。少子化で採用を急激に減らし,少人数指導で採用を増やした結果,今の職員室の年齢バランスは崩れています。本学に派遣される現職院生の多くは,長い間,ずっと学校で最年少で,それが30代まで続きます。その結果,年長者への甘え方は上手いのですが,若年者にどのように接するかを学んでいないのです。そして,その現職院生はやがてその若年者を指導する立場になります。

 一方,若い学生は現職院生に上手く接することができません。彼らの人生においては,プラスマイナス2歳程度の人と接するのが最大で,多くは同年代です。したがって,10歳,20歳違う現職院生とどのように接するかがわかりません。しかし,彼らが就職したならば,その年代の人とつきあえるか否かが重大になります。

 このようなことが『学び合い』研究で明らかになっていました。そこで教職大学院では教育実習が必修科目です。現職者や学卒院生が多人数でチームを組み,チームで実習校に入ることを本学教職大学院の特徴としたのです。さらに,学部生の卒業研究と関連させることによって,そのチームに学部学生が入ります。その結果,チームは20歳から40歳代の年齢構成になります。それは教育実習生を受け入れた職員室の姿です。

 皆さんは教育実習を経験したはずです。それを思い出してください。実習校によって,また,指導を受けた指導教諭によって,実習は違うと思います。しかし,教育実習でやることは同じではないでしょうか? 最初は指導教諭の授業を観察し,1時間程度の授業をやり,最後は1日実習をやる。どんな実習校,どんな指導教諭であっても同じだと思います。

 そして実習校にとって教育実習は負担です。

 これを大幅に変えました。

 第1に,具体的な授業の指導は大学の教員が行います。それもセンターの教員ではなく,その学生の指導教員(本学ではアドバイザー)が指導します。そして評価もアドバイザーが行います。いわゆる実習ノートに対応するものもアドバイザーがチェックし,指導するのです。

 第2に,実習校とのWin-Winの関係を構築します。各学校は様々な課題を持っています。例えば,特別な支援の必要な子どもがいるが,学校のマンパワーの関係で十分に指導ができないという課題もあるでしょう。また,学級崩壊しているクラスが複数ある学校もあるでしょう。小規模校では人間関係の固定化,そして進学先の大集団でなじめないという課題もあります。ブロック大会の発表校に指定され,ある教科を集中的に深め,発表できるレベルに早急にならなければならないという課題もあると思います。

 大学にはそのようなことに対応する学術研究の成果があります。ゼミの学生はそれを組織的に学びます。そこで,学校の課題と研究室の専門をマッチングさせるのです。例えば,ブロック大会で国語を発表しなければならない学校に,国語教育の研究室のチームが入るのです。

 第3に,総合的な実習です。教師の仕事は多様です。そのことは採用になってわかったと思います。学級通信の書き方,教室へのプリントの掲示の仕方など,大学では教えてもらっていないし,実習でも教えてもらっていません。

 本学の実習では授業だけの実習ではありません。ありとあらゆることを経験させます。実習校の先生が大変なときは,テストの丸付けもします。校庭にライン引きをします。また,PTAのバレーボールチームの中にも入ります。とにかく実習校の先生方が喜ぶようなことを何でもします。それによって,学部の実習では学べないありとあらゆることを経験させます。

 上越教育大学教職大学院は平成20年に最初の設置認可で設置されました。その際の初期の専任教員は16名です。しかし,かなり異質なメンバーです。

 16人のうちで実務家教員が7名です。そして研究者教員も含めた16名の中で小学校,中学校,高等学校で教師として教えた経験がある人は13名です。私は研究者教員ですが,都立高校で暴走族相手に物理を教えた教員です。逆に,16名の教員の中で修士以上の学位を持っている人が15名で,学術論文の業績を持つ人が14名です。実務家教員の中には2人が博士の学位を持っています。したがって,本学教職大学院では実務家教員と研究者教員という分類が殆ど意味をなしません。実務家であり研究者であるのです。

 多くの大学では既存修士の中で実践に指向性が高い研究者教員を教職大学院に配置換えをして,都道府県との交流人事で実務家教員を確保することが一般的です。ところが本学は教職員スタッフが充実しているので,大胆な人事を行うことができました。なお,上記の専任教員の中には交流人事の特任教員は含まれておりません。

 その後の人事においても上記の考え方は変わりがありません。

 多くの大学では実務に関しては実務家教員が教え,学術に関しては研究者教員が教え,受講者である学生の中で融合することを求めます。しかし,本学では実務家であり研究者である教員の中で融合されたものを学生に教えます。そして,上記のようなスタッフだから,先に述べたような教育実習が可能なのです。


   /西川 純

著者紹介

赤坂 真二(あかさか しんじ)著書を検索»

1965年新潟生まれ。新潟大学教育学部卒業,上越教育大学大学院修了。同教職大学院教授。19年間の公立小学校勤務の後,現職。学校心理士。アドラー心理学に基づくクラス会議,勇気づけを研究。

西川 純(にしかわ じゅん)著書を検索»

1959年東京生まれ。筑波大学生物学類卒業,同大学院(理科教育学)修了。博士(学校教育学)。臨床教科教育学会会長。上越教育大学教職大学院教授。『学び合い』(二重括弧の学び合い)を提唱。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 分かりやすい内容でした。赤坂先生の本は、いつも現場で直ぐに役立ちます。益々の御活躍を期待しています。
      2015/12/1250代中学校管理職

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