- 序文にかえて
- はじめに
- 第1章 教科書を200%活用した日常授業の改善
- 1 なぜ,日常授業を研究の主題にしたのか
- 2 全員がわかる・できる授業を目指した教科書活用の研究
- 3 教師全員で確認する教科書指導のポイント
- 4 日常授業の改善の進め方12のステップ
- 第2章 全員がわかる・できる算数の指導案&授業づくり
- 日常授業の指導案・授業づくり
- 1 1年「のこりはいくつ」
- 2 2年「たし算とひき算」
- 3 3年「わり算」
- 4 4年「面積」
- 5 5年「単位量あたりの大きさ」
- 6 6年「速さ」
- 公開授業の指導案・授業づくり
- 7 1年目・1年「10より大きいかず」
- 8 1年目・5年「単位量当たりの大きさ(平均)」
- 9 2年目・3年「あまりのあるわり算」
- 10 2年目・6年「速さ」
- 効果的な日常授業になるTT の取り組み
- 11 担任と連携した環境&授業づくり
- 12 児童観察・T1とT2の分担
- 13 TTでの一斉指導・個別指導
- 第3章 Before Afterで見る教科書の活用のポイント
- 1 教科書活用で子どもに育つ自信と笑顔
- 2 挿絵やイラストの活用で授業が変わる
- 3 「積み木図」の活用で「かけ算九九づくり」
- 4 細かな部分を授業で利用して効率化を図る
- 5 算数的思考力を使う場面を意図的につくる
- 6 教科書をお手本にして自分の言葉で説明させる
- 7 教科書をしっかり読み取れると授業が変わる
- 8 教科書の流れで思考の流れを訓練する
- 9 子どもの思考を助ける導入場面での教科書の有効活用
- 10 デジタル教科書の活用による体験活動
- 11 教科書をすみずみまで扱う
- 12 教科書活用の有効性を考える
- 13 教科書で授業の見通しを持たせる
- 第4章 ユニバーサルデザインの算数授業づくり
- 1 特別支援学級から見た日常授業の効用
- 2 特別支援教育の視点から見た南小学校の研究
- 3 「ひま」を作らない活動と仲間を感じる活動
- 4 「場合の数」で順序よく整理する方法をさぐる
- 5 補助計算・図・説明についての一考察
- 6 かけ算の立式で問題のキーワードに下線を引く
- 7 ICT機器を活用した授業づくり
- 8 リスク要因を減らし,子どもの問題行動を減らす
- 9 表現と交流のある算数的活動
- 10 アルゴリズムとともに計算メモを書く
- 11 たし算かな? ひき算かな? 問題場面を図で表す
- 12 道具に目印をつける
- 13 単位のしくみの教え方
- 14 説明しあう活動から既習の内容・考え方を学び直す
- 15 三項関係を数・文字(ことば)の学習の共通構造と考える
- 16 すべての子が使える易しい教具
- 資料 研究通信
- おわりに
- 研究同人
序文にかえて
南小の「学力向上の秘訣」とは何か
北海道学校力向上事業アドバイザー /野中 信行
本書を執筆している南小の「授業」への考え方は,明快である。
「『授業がうまくいった』,『子どもたちの目が輝いていた』,『意欲的に学習に取り組む様子が見られた』,『意見が活発に出されて上手に話し合っていた』…などというような,抽象的で何とでも理解されるような言葉で研究の成果を測ってはいけない。『子どもの事実』で成果を確認していくことである」と。
南小は,岩見沢市にある普通の地域の,普通の学校である。その学校が全国学力テストで秋田県の平均を抜くような「学力向上」を図っている。
学力向上の秘訣とは何か?
1つ目は,向上させていく「学力」をきちんと設定していること。単元テスト(業者テスト)を「学力」の目安としていて,「最終的に学級全員の子が90%以上で通過することを目標とする」としている。これは普通の学校ではかなりレベルが高い目標値になる。でも,やり抜こうとしている先生たちの心意気はすごいものである。
2つ目は,学習になかなかついてこられない子どもたちにこだわっていること。ずっと追跡調査をしている。「テスト」の平均点を上げることだけが目的ではないことがはっきりと分かる。
3つ目は,徹底して「日常授業」のレベルを上げることに力を注いでいること。特にノート指導の徹底ぶりは,舌を巻くほどである。
南小は,北海道教育委員会の「学校力向上」の事業を推進している学校の1つである。事業の重点目標の1つが,「日常授業」の改善。今,日本の学校現場に最も必要な施策がこうして南小で実現されている。
普通の学校が,どうしたら「学力」を向上させられるか。その大きな問題提起を,南小は,こうして展開しているのである。
自分の分掌の仕事の参考になりました。