- 1章 中学校の部活指導の実態
- 部活指導に行き着くまでの道のり
- 授業
- 小テスト
- 会議
- 提出物チェック
- 生徒指導
- 部活指導の実態
- 部活指導は大きな負担
- 部活動は教育課程の「外」にあるもの
- 休めない顧問と休む勇気
- 部活顧問が陥りやすい問題
- プライオリティを見誤らない
- それでも部活指導は楽しい
- 2章 部活顧問の仕事
- 予算編成
- 部活動で使えるお金は微々たるもの
- 無理をすると部活指導は破綻する
- 道具の購入は生徒と相談してニーズを見極める
- 予算確保の道を開く対話
- 練習場所の確保・調整
- 自分の部だけ好きなようには使えない
- 生徒自身が工夫できる余地を残す
- 平日の練習
- 朝練は必要or不要?
- 朝練のリスク
- 放課後練習を機能させるための組織づくり
- 休日の練習
- 休日練習は残念賞?
- 控えの生徒とのかかわり方
- ミーティング
- 生徒が主体的に話し合う「通常ミーティング」
- 「反省ミーティング」で部の方針の徹底をはかる
- 技術的な話の前に話すことがないか
- その日の活動の実態をわかっているか
- 練習試合の設定
- 試合の相手がいない!
- 練習試合の申し込み方
- 試合の引率
- 道具忘れはだれの責任?
- ルールやマナーに気を付けられるチームに
- 移動中は声かけの絶好のタイミング
- 安全・健康管理
- 勝ち負けより大切なこと
- 生徒も疲れる
- 顧問のいないところで無理な練習をさせない
- 外部指導者との連携
- 学校の実態を知ってもらう
- 役割分担と責任の所在を明確にする
- 指導方針を擦り合わせる
- 指導時間の確保
- 放課後の時間をあてにしない仕事のやりくり
- 少しの時間でも練習の場に顔を出すことの大切さ
- 応急処置の知識
- 応急手当てセットは必携
- 有効な応急処置ができるように
- 慌てず冷静に対処するために
- 3章 部活動の組織をつくる
- 自分自身の「部活動経営哲学」をもつ
- 非熱血型指導スタイル
- 地続きの指導
- 「空き店舗活用」で始める部活動の組織づくり
- 生徒には慣れたシステムがある
- 前任者を否定しない
- 新しいルールやシステムが確固たるものでなければなし崩しになる
- 時間はかかっても真摯に生徒と向き合う
- 組織を掌握するための13のアプローチ
- @学校内外の評価を把握する
- A部の伝統を理解する
- B部がもつ空気や雰囲気に敏感になる
- C活動環境を整える
- D道具をチェックする
- Eルールの裏にある理由を認識する
- F姿の見えない部員と向き合う
- Gキャプテンの機能を見定める
- H主力選手の関係性を把握する
- I積極的に控え選手とのコミュニケーションをはかる
- Jデータをとって生徒の身体能力を把握する
- K生徒一人ひとりの素行をきちんと把握し、理解する
- L学業成績を把握し勉強への動機づけをはかる
- 組織づくりの軌道修正の仕方
- ルールの修正の仕方
- 練習方法の修正の仕方
- 活動環境の修正の仕方
- ミーティングを通して修正する
- 組織の運営の仕方
- 現状把握の仕方
- リーダーの育成の仕方
- 話し合いや相談の機能のさせ方
- 目標に向けた取り組ませ方
- 維持・持続のさせ方
- 組織の強化の仕方
- 機能している組織とのかかわり方
- 大会見学を通したモチベーションの高め方
- 練習試合を通したチーム力強化の仕方
- 他校との合同練習を通したチーム力強化の仕方
- 高度な技術指導の仕方
- 周囲に愛される部員、生徒の育て方
- 生徒個人の目標との向き合わせ方
- 生徒と顧問の目標の共有の仕方
- 組織づくりでしてはならないこと
- 生徒への迎合
- 一部の生徒の特別扱い
- ルール違反の看過
- 学校という枠組みを逸脱するような指導
- 4章 Case study 部活動のトラブルシューティング
- 1 ほとんど引き継ぎがないまま顧問になった
- 2 競技経験がなく、どんなスタンスで指導すればよいかわからない
- 3 保護者からの要望を受け止めきれない
- 4 遅刻が後を絶たない
- 5 指示や指導を生徒が素直に受け入れない
- 6 特定の生徒が部の空気を乱している
- 7 一生懸命練習しても試合に勝てない
- 8 顧問がいるときといないときで練習態度が違う
- 9 部活動以外の学校生活での態度に問題がある
- 10 部内にいじめの兆候が見られる
- 11 練習に参加できない生徒が多い
はじめに
中学校において、若い先生や教師になりたての先生が授業や学級経営、保護者対応と同様に悩むはずの部活指導。しかし、それについて述べられた論考を、私はあまり見たことがありません。
私も部活指導については、少なからずしんどい思いをしました。そして、教職に就いて10年が経ち、少し身の回りのことが見えるようになってきたからこそ、この現状に問題意識を強く感じるようになりました。
残念ながら、私が知る限りでは、部活指導を取り上げた初任研はあまりありません。では、大学の教職課程ではどこまで取り組まれているのでしょうか。私が調べたところ、「部活動指導」は教職課程の講義の一部分であるところがほとんどでした。しかしながら、実際に採用されてからは「見て学べ」「やって覚えろ」というのが現場の実態です。
「目指せ全国大会!」などの目標どころか、もっと手前の部活動経営が立ち行かないケースを私は多く見てきました。生徒が言うことを聞かない、練習中に遊んでしまう、授業中に自分の部の子ばかり注意される。多くの先生方はそのような指導に日々追われ、技術指導に行き着くまでのところで悩んでいます。
本書は、そういった先生方や、将来、部活指導を夢見ている学生さんにぜひとも読んでいただきたい「部活動指導のスタートブック」です。中でも「部活動の組織づくり」に力点を置いているのが本書の特徴です(一読して「こんなハードルの低いことはやってられない」と思われるようでしたら、専門的な技術指導書をご覧になってください。おそらくそういった方には、本書は必要ないはずです)。
なお、私は中学校の教員であり、本書でも中学校現場を想定して論じていきますので、高校の部活指導とはまた異なる部分もあるかもしれません。それぞれの現場の実態や競技性に鑑みて読みかえていただければ幸いです。
2015年1月 /杉本 直樹
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- 明治図書
- 具体的な指導事例が多ければなおよかった2017/4/230代・中学校教員
- 全国レベルで勝てるためにはどのようなノウハウがあるのがをもっと知りたい。2015/7/340代 中学校
- 部活を指導する上での哲学を学んだ。2015/6/2420代社会科教諭