- まえがき
- 第1章 「教育目標」と「特色ある学校づくり」Q&A
- Q1 改正学校教育法の概要と学校に期待される役割とは?
- Q2 主幹教諭・教務主任が「学校運営改革」に果たすべき役割とは?
- Q3 学校の教育目的及び教育目標(規定)の見直しに大切な視点とは?
- Q4 教育課程編成と運用のポイントは?
- Q5 学年の授業年間予定時数とその組み方のポイントは?
- Q6 学校行事の日程づくり,そのポイントは?
- Q7 ミドルに期待される連絡調整力とは?
- Q8 「副校長・主幹・指導教諭」それぞれに期待されている役割とは?
- Q9 特色ある学校づくりに向けてミドルに期待される役割とは?
- 第2章 「基礎学力の保障・学力向上」Q&A
- Q10 「学力向上」で学年(教科)主任に求められる役割とは?
- Q11 「先が見える週案づくり」はどのようにすればいいでしょうか?
- Q12 学年カリキュラムをつくる際のポイントは?
- Q13 教材研究はどのように取り組めばいいでしょうか?
- Q14 習熟度別指導などは,どのように取り組めばいいでしょうか?
- Q15 事例蓄積や分析システムは,どう作ればいいでしょうか?
- Q16 「全国学力・学習状況調査」のデータはどう生かせばいいでしょうか?
- Q17 「授業力向上」で主幹教諭・指導教諭が期待される授業リーダーとしての役割とは?
- Q18 若手の授業にはどうアドバイスしたらいいでしょうか?
- Q19 授業研究にはどう取り組めばいいでしょうか?
- 第3章 「信頼される学級経営・学校経営」Q&A
- Q20 子どもと向き合う時間を確保するにはどうすればいいでしょうか?
- Q21 専科との連絡・連携はどのようにすればいいでしょうか?
- Q22 学年主任に求められる役割とは?
- Q23 事務処理に追われない学級スケジュールの管理方法とは?
- Q24 学年のクラスが学級崩壊になってしまった時,どうすればいいでしょうか?
- Q25 学年間の調整はどのようにすればいいでしょうか?
- Q26 校務分掌間の調整はどのようにすればいいでしょうか?
- Q27 学年の問題について管理職に相談する場合はどうすればいいでしょうか?
- 第4章 「校内研究・研修」と「教員の資質向上」Q&A
- Q28 「校内研究・研修」でミドルとして大切な役割とは?
- Q29 「校内研究・研修」で主幹教諭・担当教諭に期待される役割とは?
- Q30 研究・研修テーマを決める際の留意点とは?
- Q31 教員同士の協働体制はどのように作ればいいでしょうか?
- Q32 校内研究・研修における指導・助言のシステムはどのように作ればいいでしょうか?
- Q33 若手教員の研修はどのようにすればいいでしょうか?
- 第5章 「学校評価」と「学校の情報公開」Q&A
- Q34 「学校評価ガイドライン」とはどういったものでしょうか?
- Q35 学校の自己点検・自己評価システムづくりでミドルはどう動くべきでしょうか?
- Q36 システムを支える教員組織のあり方とはどういったものでしょうか?
- Q37 学校評価結果を「次」へ生かすにはどうすればいいでしょうか?
- Q38 「学校の情報開示」はどのように取り組めばいいでしょうか?
- Q39 情報開示の一貫として学校HPはどのように作ればいいでしょうか?
- Q40 寄せられた反応・情報はどのようにとりまとめればいいでしょうか?
- Q41 保護者・地域との連絡・連携システムはどのように作ればいいでしょうか?
- Q42 保護者・地域からのクレームにはどう対処すればいいでしょうか?
- 第6章 「危機管理」と「現在の教育課題」Q&A
- Q43 「危機管理」において生徒指導主任に求められる役割とは?
- Q44 「子どもの実態」はどう調査すればいいでしょうか?
- Q45 防犯マニュアルの作成・点検はどのようにすればいいでしょうか?
- Q46 災害・事故「いざという時」の連絡体制はどのように構築すればいいでしょうか?
- Q47 登校中(休み時間・授業中)・登下校中の事故,どのように対処すればいいでしょうか?
- Q48 食中毒対策は,どのように取り組めばいいでしょうか?
- Q49 いじめ・不登校が起こる原因・サインはどうとらえればいいでしょうか?
- Q50 いじめ・不登校を防ぐ校内体制とはどういったものでしょうか?
- Q51 ネット犯罪への対応として情報教育主任に求められる役割とは?
- Q52 ファイルの管理やインターネットからの情報流出にはどのように取り組めばいいでしょうか?
- Q53 特別支援教育は学校でどのように取り組めばいいでしょうか?
- Q54 小学校英語は学校でどのように取り組めばいいでしょうか?
まえがき
30数年前の東京下町のある小学校。その年は初任者教員が11名赴任した。翌年は同じく12名が赴任した。3学年の担任は3名とも初任者教員であった。元気だけはとてもよかった。
学年主任も初任者。行事の責任者も初任者。遠足に出かけて,子どもにトイレの位置を聞かれて答えられなかった。現地に実地踏査をした時に,トイレの確認をしてこなかったのである。
今は校長として活躍している私の知人の若き時代の失敗談である。
あの時代,まだ牧歌的であった。こんな失敗談も許容するおおらかさがあた。学校への信頼もまだ強いものがあった。
教育界は大きな転換期を迎えている。年齢構成の大きな変化である。
30数年を経て,また若い教師が増えつつある。団塊世代の定年退職とその下の世代の退職によって,すでに東京都の年齢構成は年長世代の山が崩れ始めている。
現在は東京都から兵庫県あたりまでの太平洋ベルトを中心として地域での変化であるが,次第に他へと広がっていくかもしれない。
こういう時代にあって,ミドル教師の果たす役割はますます大きくなりつつある。ミドル教師の定義はないが,ここではおよそ経験10年程度の30代教師から管理職前の40代前半程度の教師をイメージしている。
勿論,学校の状況によっては20代でミドル教師の役割を果たさなければならないし,40代後半でもまだミドル教師であるという可能性もある。
これからの学校運営では,ミドル教師の果たす役割がとても大きい。いやミドル教師が成長し,ミドルリーダーとならなければこの難局を乗り切れないと言っても過言ではない。
戦後教育改革はこの20年間ほど「第3の改革」と言われ続けてきた。ミドル教師にとってみれば,教職について以来ずっと言われ続けているので何が改革なのか理解しがたいのではないかと考える。
こうした中で,平成18年12月に改正教育基本法が施行された。これを受けて平成19年6月に関連3法が施行された。関連3法とは,「学校教育法」「地方教育行政の組織および運営に関する法律」「教育職員免許法及び教育公務員特例法」である。
改正学校教育法の概要は大きく5つ内容で構成されているが,特に義務教育に関係するのは,各学校種の目的及び目標の見直し等,副校長・その他の新しい職の設置,学校評価及び情報提供に関する規定の整備の3項目である。
また,地方教育行政の組織および運営に関する法律においては,教育における国,教育委員会,学校の責任を明確にし,保護者が安心して子どもを学校に預けうる体制を構築することを目指している。
教育職員免許法及び教育公務員特例法では,教員免許更新制を導入し,あわせて指導が不適切な教員の人事管理を厳格化し,教員に対する信頼を確立する仕組みを構築しようとするものである。
ミドルリーダーは,まず自分自身が法令について学び,若手教員やベテラン教員たちの模範となる姿勢を見せることが大切である。
本書の執筆者は,みな現役の管理職として活躍している方ばかりである。それぞれミドルリーダーの時代から,学校や教育委員会などにおいて学校運営改革にたずさわってきた。ミドルリーダーとしてどのような役割を果たしていけばいいのか。是非,本書でその手が掛かりを得ていただきたいと思う。
終わりになったが,本書をまとめるにあたり明治図書編集部及川誠氏に大変お世話になった。厚くお礼申し上げたい。
平成20年7月 /向山 行雄
それぞれ現役の校長先生方が具体的に書かれているので、説得力がありました。