- はじめに
- 1章 小学校の学習評価と担任の仕事
- §1 新児童指導要録の改訂のポイント
- 1 指導要録の役割
- 2 各教科等の評価
- 3 外国語活動の評価
- 4 総合的な学習の時間の評価
- 5 特別活動の評価
- 6 行動の記録
- 7 総合所見及び指導上参考となる諸事項
- 8 個人内評価
- 9 指導要録の評価及び作成のICT化
- §2 活用力の重視と評価
- §3 学習評価の基本的な考え方
- 1 評価の3つの働き
- 2 授業の中の評価
- 3 通知表の評価
- 4 指導要録の評価
- §4 学習評価のポイント
- 1 よさや進歩を認める評価
- 2 注文をつける評価
- 3 妥当性・信頼性・客観性
- 4 指導と評価の一体化
- 2章 1学期の評価の仕事20
- 1 1学期の評価のポイント
- 2 指導要録の記入
- 3 指導要録の読み取り
- 4 保護者会での学習評価の説明
- 5 子どもへの学習評価の説明
- 6 授業の中の評価と支援@<分からない子ども>
- 7 授業の中の評価と支援A<つまずいた子ども>
- 8 授業の中の評価と支援B<自分なりに解決できた子ども>
- 9 授業の中の評価と支援C<目標を達成した子ども>
- 10 通知表の内容の検討
- 11 ノート指導
- 12 朝学習のさせ方
- 13 宿題の出し方と点検
- 14 テストの採点の仕方と返し方
- 15 通知表の評価のための記録の取り方
- 16 通知表の評価・評定の仕方
- 17 通知表の所見の書き方
- 18 保護者会での通知表の説明
- 19 通知表を渡す前に子どもに話しておきたいこと
- 20 指導要録の整理と確認
- 3章 2学期の評価の仕事15
- 1 2学期の学習評価のポイント
- 2 通知表「保護者の返事」の受け止め方
- 3 学習シートの作成と評価
- 4 自由学習のさせ方と点検
- 5 作文や感想文の評価
- 6 観察・実験のまとめの評価
- 7 見学・体験の報告文の評価
- 8 図画・習字・工作など作品の評価
- 9 漢字・計算などの効果的な指導と評価
- 10 考える力の指導と効果的な評価
- 11 表現する力の指導と効果的な指導と評価
- 12 文章題の効果的な指導と評価
- 13 2学期の通知表の記入
- 14 子どもに話したい「通知表と新年の目標」
- 15 指導要録の整理と確認
- 4章 3学期の評価の仕事15
- 1 3学期の学習評価のポイント
- 2 行動の評価のポイント
- 3 特別活動の評価のポイント
- 4 総合的な学習の時間の評価のポイント
- 5 外国語(英語)活動の評価のポイント
- 6 評価に関する苦情への対応
- 7 子どもの自己評価のさせ方と活用
- 8 授業中の記録と整理の仕方
- 9 3学期の通知表の記入
- 10 指導要録の観点別評価の仕方
- 11 指導要録の評定の仕方
- 12 指導要録の「総合所見欄」記入のポイント
- 13 春休みを前に保護者と子どもに話しておきたいこと
- 14 1年間の学習評価の振り返り
- 15 通知表と指導要録の整理・点検と引継ぎの準備
- 5章 知っておきたい耳寄りな話題15
- 1 PDCA「指導と評価の一体化」
- 2 支援の手立て
- 3 子どもを意欲的にする声かけ
- 4 子どもを意欲的にする評価の工夫
- 5 習熟度別指導の実際
- 6 自作テストの作成と特徴
- 7 レディネステストとプレテストの実施と活用
- 8 家庭訪問や個人面談における「学習評価の課題」
- 9 <最新情報@>ポートフォリオ・アセスメント
- 10 <最新情報A>パフォーマンス・アセスメント
- 11 <最新情報B>オーセンティック・アセスメント
- 12 学習を支える生活規律
- 13 学習を支える学習ルール
- 14 深い学習を支える「学び合い」
- 15 大切な「考えさせながら教える授業」
はじめに
児童指導要録が,小学校学習指導要領の改訂に伴って約10年ぶりに改訂されました。そこで,改訂された児童指導要録の評価の考え方に対応した,小学校の担任教師がしなければならない「学習評価の仕事」の内容と進め方を,学校暦に従って具体的に示し,分かりやすく解説して,多忙な担任教師をサポートする目的で,本書を著しました。
評価には,次の3つの働きがあります。(詳細は本文をご覧ください)
@ 指導計画や学習指導案を作成するために,子どもの実態を捉える評価(診断的評価)
これから新しいことを学び取っていくために,既習の学習がどの程度分かっているか,どれくらい身に付いているか,考え方や表現の仕方が育っているか調べる必要があります。
A 授業の中で子どもの反応を捉え,それらを支援する評価(指導と評価の一体化)
子どもが好ましい方向に変わり,よさが光るのは,授業の中の子どもの反応に対する教師のかかわり方が大きな影響をもたらします。子どもの反応を捉える評価とそれらに対する支援の手立てが,子どもを成長させていくのです。
B 子どもの学習成果を確認するための評価(単元テスト,通知表,児童指導要録)
学習の成果(結果)を把握し,その後,子どもに対する補充又は発展学習を行うとともに,指導計画や授業を改善することが必要になります。いわゆる成績を評価(総括的評価)することも大切です。
担任の評価の仕事は,これら@ABのいずれにもかかわり,大切な事柄です。しかも,学級経営,各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動などの授業,生活指導,校務分掌,子どもたちとのふれあい,保護者からの相談などいろいろなことを次々と進めていかなければならない毎日です。ややもすると,その多忙感の中で,ついつい評価の仕事が停滞することがあったとしても無理のないことだと思います。
そこで,本書は,次のような構成にして,目次を見て,評価の仕事の概要と,毎学期の主な評価の仕事を捉え,必要に応じて本文を読んで,具体的に何をどのようにすればよいかの理解ができるようにしました。
第1章は,新しい児童指導要録の評価の考え方の概要と,担任の評価の仕事の内容について解説してあります。
第2章は,1学期にする担任の評価の仕事を,時系列を意識して説明し,この順番で処理していけば,当面は困らないように構成してあります。
第3章は,2学期にする担任の評価の仕事について解説しました。構成は,1学期と同じように時系列を意識してあります。
第4章は,3学期にする担任の評価の仕事を,第2章や第3章と同様の発想で時系列を意識して構成してあります。
第5章は,評価に関する「耳寄りな話」として,知っていると何かと役立つ評価に関する「知恵やコツ」をいくつか紹介しました。きっと,今までのあれこればらばらの知識につながりができ,なるほどと納得されると思います。
そして,本書を,時系列にとらわれずその都度拾い読みをすると,担任の『評価の仕事』とはどのようなことか,また実際にどのように進めればよいのかが,具体的に分かるように,幅広く情報を収集し,散りばめたつもりです。
通知表や児童指導要録に,子どもの評価・評定を記入し,保護者に知らせたり,教師の指導の資料に役立てたりすることは重要なことであり,それを正確に,適切に行うことが必要です。
しかし,通知表や児童指導要録の評価・評定の前に,子どもに質の高い教育(特に質の高い学力=読み書き計算を超えた学力)を保障する授業の成立していることが大切だと強く感じています。まさに,評価は,子どものそのときの成績(目標の達成度=値踏み)を判定する以上に,子どもを育てるために機能させることが重要であり,温もりのあるものにするべきだと思っています。
そこで,担任としての評価の仕事を適切に,効果的に行い,子どもを育てること,即ち指導と評価と支援の一体化が効果的に行われている『充実した授業』を,通知表や児童指導要録の評価・評定の前にきちんと行うことが求められていると考え,それができるようにするためのお役に立ちたいとの思いを込めて,本書を著しました。授業の中で,評価が温もりのあるものとして子どもたちを育て,自信をつけ,前向きに作用するように祈り,期待しているところです。お目にとまりましたらご一読いただき,ご批判とご指導を切にお願いします。
本書を執筆するに当たり,吉川成夫先生はじめ多くの方々から資料提供やご指導を賜りましたことに対し衷心より感謝申し上げます。また,曖昧な構想をこのように整えてくださった編集部の安藤征宏氏に,特に名を記してお礼申し上げます。
平成22年2月 著者 /小島 宏
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- 明治図書