- はじめに
- 第1条 感動の9つのエピソード
- 〜実習生パワー編〜
- 1 上靴を踏まなくなった信夫くん
- 2 手づくりビーズをプレゼントした麻里さん
- 3 トイレでふざけるのをやめた晋也くん
- 4 ドッジボールに負けて大泣きした勇太くん達
- 5 うんていができるようになった沙織さん
- 6 鉄棒の前回りができるようになった莉子さん
- 7 長縄200回の「約束」を果たした子ども達
- 8 別れ,そしてはじまり
- 9 子ども達のすばらしさをかみしめる
- ◆ブレークタイム1 〜教職に就くことを決意させた子ども達の歌声〜
- 第2条 こんな時どうする?17のアイデア
- 〜日々の生活編〜
- 1 初日・二日目こそ名前を呼んであげよう
- 2 掃除の指導は名前を呼んで
- 3 一度に多くの子どもが話してきた!
- 4 立ち位置一つでこんなに変わる
- 5 教室のベストポジションをさがせ
- 6 子どもの「よさ」が見える「教師の眼」
- 7 関わりを広げるピンポイント作戦
- 8 「ひとりぼっち」で読書している子がいたら
- 9 友達の悪口をあなたに話してきた!
- 10 子どもが持ち物をとって逃げた!
- 11 子どもが運動場でけがをした!
- 12 複数の子どもから休み時間の誘いが…
- 13 子どもが遊びの中で不満を!
- 14 お互いすっきり。けんかの仲裁法
- 15 心に響くほめ方
- 16 心に響く叱り方1
- 17 心に響く叱り方2
- ◆ブレークタイム2 〜言葉を惜しむ〜
- 第3条 使いこなそう10の基礎ツール
- 〜教材研究編〜
- 1 ウェビング
- 2 ことばあつめ
- 3 ストランド
- 4 ワードマウンテン
- 5 スリーツリー
- 6 目の付けどころ「追究1」
- 7 目の付けどころ「追究2」
- 8 目の付けどころ「追究3」
- 9 目の付けどころ「テーマ探索1」
- 10 目の付けどころ「テーマ探索2」
- ◆ブレークタイム3 〜子どもに詫びる〜
- 第4条 これだけはおさえておきたい10の鉄則
- 〜指導案作成編〜
- 1 タイトルはシンプルに
- 2 単元名=単元目標を意識する
- 3 単元目標は3〜4つで表記
- 4 単元の趣旨:教材観→児童観→指導観
- 5 指導計画は,構造化できるよう
- 6 本時の目標は,具体的に一文で表記
- 7 二人三脚「児童の学習活動」と「指導上の留意点」
- 8 「導入」「展開」「まとめ」の節で考える
- 9 添付資料も授業の主張である
- 10 発問と板書計画は学習過程にそって
- 11 誤字,脱字の点検はダブルチェックで(番外1)
- 12 専門用語を使いこなす(番外2)
- ◆ブレークタイム4 〜教師の眼差し〜
- 第5条 頭にたたき込んでおきたい12の原則
- 〜いざ,授業編〜
- 1 まずは,笑顔で45分
- 2 子ども達を惜しみなくほめよう
- 3 眼差しを全員に注ごう
- 4 沈黙をおそれるな
- 5 山場は山場らしく
- 6 中心発問は覚えよう
- 7 立ち位置を意識しよう
- 8 「オウム返し病」をやっつけよう
- 9 つまずきを生かそう
- 10 子どもの活動中に作戦を立てよう
- 11 板書は丁寧に,大きく
- 12 全員を巻き込もう
- ◆ブレークタイム5 〜教育実習日誌で思考を深めよう〜
- 第6条 授業を栄養にするための5つの構え
- 〜授業振り返り編〜
- 1 失敗を重ねうまくなる
- 2 その日のうちに誰かとお話しよう
- 3 自評は目標にそっ
- 4 司会者は頭をフル回転
- 5 参観者は視点を持って観察したことを語ろう
- ◆ブレークタイム6 〜子ども達の健気さに感動できますか?〜
- 第7条 覚えて得する10のまめ知識
- 1 教育関係の法律
- 2 学校の目的と目標
- 3 法規からみた教員
- 4 職員の種類と仕事
- 5 体罰の禁止
- 6 学校の一日
- 7 学習指導要領1
- 8 学習指導要領2
- 9 学校を知ろう:校務分掌
- 10 実習後のまとめ:日誌のまとめを読む
- 第8条 大切にしたい5つのマナー
- 〜社会人としての心得編〜
- 1 言葉づかいに気を付けよう
- 2 心地のよいあいさつをしよう
- 3 携帯電話の電源は切っておこう
- 4 身だしなみを整えよう
- 5 時間を守ろう
- ◆ブレークタイム7 〜実習生の熱い情熱に「原点」をみる〜
- 第9条 そろえておきたい必須アイテム21
- 1 名札カード
- 2 クリアホルダーとクリアブック
- 3 3色ボールペンとマーカ
- 4 紙はさみ(用箋はさみ)
- 5 ホッチキス
- 6 カッティングマットとカッティング定規
- 7 はさみとカッターナイフ
- 8 粘着付きメモ用紙
- 9 トレーニングスーツ
- 10 お箸セットと歯磨きセット
- 11 ハンカチとハンドタオル
- 12 スニーカーとぼうし
- 13 マグネットシートとスケッチブック
- ◆ブレークタイム8 〜言葉の根っこがみえますか〜
- 第10条 実習生からみた「教育実習」
- 1 教育実習の抱負
- 2 名前が分かってきた!
- 3 初めての授業
- 4 高まる意識
- 5 終わりが近づく
- 6 授業,すべて終わった
- 7 実習が終わった
- 8 教育実習の感想(直後)1
- 9 教育実習の感想(直後)2
- 10 教育実習の感想(1年後)1
- 11 教育実習の感想(1年後)2
- おわりに
はじめに
教育実習は,教員養成系の大学教育カリキュラムにおいて,教員免許取得の条件として,必修科目として位置付けられる最も重要な教育内容の一つであります。そして,カリキュラム上,長期にわたり,現場を最も近くに感じる実地授業の科目とも言えます。このような教育実習に対して,教員志望学生は,期待に胸を膨らませることでしょう。また,一方では緊張と不安を抱かせるものともなっているでしょう。教育実習を経験した先輩から話を聞けば聞くほど,期待と不安が交錯する気持ちは大きくなるばかりだと思います。期間にしてみれば,わずか4〜5週間,一か月余なので,たいしたことないとも言えます。反対に一か月もの間,毎日続くので大変だとも言えます。こうした気持ちの狭間で揺れ動き,準備不足のまま教育実習に向かったり,極度の緊張を引きずったまま教育実習の初日を迎えてしまう学生の皆さんに, 少しでもスムーズに教育実習のスタートが切れるようにと本書を準備しました。
本書は,いわゆる「教育実習とは何か」といった教育実習論という色彩はなく,実際の教育実習において役立ちそうな具体的な指導の事例やエピソード,状況をみる観点など分かりやすく示したものです。教育実習は,自分の肌で子どもの体温を感じ,個々の事例において,指導のあり方をマスターすることを目的とするものであり,マニュアルなんてナンセンスだと思います。しかし,現代の学校教育の現場が抱える問題が多様化する中で,わずかな期間の教育実習に,即戦力としての力を育成することが難しくなっています。そのため基本的な事柄をマスターするためのサプリメントとして本書を活用してもらいたいと思っています。本書を開くことによって,一人でも多くの学生が,学校現場で,次代を担う子どもの教育に携われることを願っています。
本書の内容は,実習校でしばしば出会う具体的な指導場面で,どのようにその状況を把握し,どのように考え,どのように行動を起こすのかなど,子どもと教育実習生との関わりを軸に構成されています。また,実習中に必要だとされているノウハウや周辺の知識もコンパクトにまとめています。さらに,実際に教育実習を経験した学生の声も寄せ,教育実習のイメージをとらえやすいようにサポートしています。
教育実習に向けて準備をしている教員志望学生の方を対象に,教育現場からそのポイントを著したつもりですが,初任の先生方にも広く活用していただくことを希望します。ここに記した要点,勘所,具体的方策などをマスターするには,何度も繰り返しながら,また何度も本書を読み返しながら,少しずつ身に付けて頂きたいと思っています。教師になるための道に王道や近道などありません。ただ本書の示す内容が,指導の原点を思い出させるきっかけとなり,また励みとなって,地道な努力を続ける初任の先生方の支援にもなれば,著者にとって望外の喜びです。
本書は,ただ教育実践にかかわる内容をすべてカバーしたわけではなく, 不足な点も多々あるかと存じます。また,不必要な点もあるかもしれません。忌憚のないご意見が頂ければ幸いです。
最後に,本書の出版の機会を与えて下さった明治図書編集部の石塚嘉典様をはじめ,校正でお世話になりました有海有理様,関係の方々に深く感謝致します。
2007年1月
広島大学大学院教育学研究科 /溝邊 和成
(注)本文中に登場する名前はすべて仮名です。
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- 明治図書