- はじめに
- 第1章 授業創りに参考になることを
- 1 なんと言っても授業で勝負!
- 2 教材研究のヒント
- 3 最初の授業で!
- 4 準備・片付けは席の番号で!
- 5 確実に覚えさせたいことは,小テストで定着を!
- 6 徹底したい器具操作には,パフォーマンステストと合格証を!
- 7 日常生活との関連付けを!
- ○「そうか? 野菜も植物なんだ!」 (1年2分野 植物)
- ○重曹がいろいろ役立つのはなぜ? (2年1分野 分解)
- ○水圧で真空?パック (1年1分野 水圧)
- 8 試験問題にも日常生活の話題を!(出題例)
- 9 年に1〜2回は,調べ学習を!
- ○「科学新聞をつくろう」または「自由研究」 (1年 夏休みの課題)
- ○「いろいろな動物を調べよう!」 (2年2分野 動物の生活)
- ○「いろいろな発電」 (3年1分野 エネルギー)
- ○「地球環境を考える」 (3年2分野 自然と人間)
- 10 広げ,深めるために 「豆知識」・「発展」プリントの活用
- ○「豆知識」プリントで学習を広げる! (1年2分野 植物)
- ○「発展」プリントで最先端の科学を! (3年2分野 遺伝)
- 第2章 簡単で生徒の食いつきのよい実験観察を
- 1 授業を楽しくし,頭に残るちょこっと実験を!
- ○震えたら液体に! (1年1分野 状態変化)
- ○音にびっくり水素の爆発実験 (1年1分野 物質のすがた…気体)
- ○純粋な水は電気を通さない (2年1分野 化学変化)
- ○濃硫酸の威力 (3年1分野 酸・アルカリとイオン)
- ○派手に中和実験 (3年1分野 イオンと化学変化)
- ○ピーナツ1粒でお湯を沸かす スパゲッティ1本でお湯を沸かす (2年2分野 動物)
- ○ペットボトルでドカンと雲つくり (2年2分野 気象)
- ○大気圧を実感 (1年1分野 力と圧力)(2年2分野 気象)
- ○真空鐘に風船とマシュマロを入れて空気を抜くと… (1年1分野 力と圧力)(2年2分野 気象)
- ○摩擦がないって楽しい! (3年1分野 力と運動)
- ○みんなで楽しむ静電気実験 (2年1分野 電流)
- ○振って逆さに! 堆積モデル (1年2分野 大地の変化)
- 2 ときにはインパクトのある実験・観察を!
- ○豚の解剖 (2年2分野 動物)
- ○液体窒素の実験は外せない (1年1分野 状態変化)
- ○冷たいのに沸騰し,燃えている試験管トーチ (家庭のガスの液化)
- 3 たまには,あえて,失敗を!
- ○逆流を体験 (1年1分野 状態変化)(2年1分野 化学変化)
- ○電熱線を発熱発光させ焼き切る (2年1分野 電流)
- ○「あわわ」いっぱい・カバーガラスがガチャン(1年2分野 植物)
- 4 手品実験で引きつける!
- ○ティーバッグの灰からお札が (2年2分野 気象)
- ○念力?でアルミ缶をつぶす (1年1分野 力と圧力)
- ○慣性も手品で! (3年1分野 運動)
- 第3章 理解を助ける指導法の工夫や教材・教具を
- 1 暗記はこじつけを楽しんで!
- ○替え歌で覚えさせる
- 「指示薬の歌」 (1年1分野 水溶液…指示薬)
- 「オームの法則の歌」 (2年1分野 電流)
- 「電気の歌」 (2年1分野 電気)
- 「虹の七色の歌」 (1年1分野 光と音)
- ○キロキロとヘクトデカけたメートルがデシに追われてセンチミリミリ
- ○原子記号はもちろんこじつけで (2年1分野 物質の成り立ち)
- 2 図は書き方次第でぐーんと分かりやすく!
- ○凸レンズによってできる像 (1年1分野 光と音)
- ○平面鏡による光の反射でできる像 (1年1分野 光と音)
- ○電圧を教えるときには縦の回路図を! (2年1分野 電流)
- ○師管の位置はアブラムシの図で! (1年2分野 植物)
- ○前線の記号は矢印の頭 (2年2分野 気象)
- ○星も太陽も同じ動き (3年2分野 天体)
- ○地球の公転と見える星座 (3年2分野 天体)
- 3 空き時間に簡単教具をつくろう!
- ○自転と時刻・方位の説明器 (3年2分野 天体)
- ○金星の見え方が一発で分かる実験器 (3年2分野 天体)
- ○ほうきの柄と矢印の輪で右ねじの法則を (2年1分野 電流と磁界)
- ○一目で分かる合力(平行四辺形の法則) (3年1分野 運動の規則性)
- ○模型で納得! カメラとヒトの目 (1年2分野 光と音)
- ○前線モデルを移動させる (2年2分野 気象)
- ○大型電流(圧)計で,つなぎ方・読み方を徹底 (2年1分野 電流)
- 4 黒板やホワイトボードで使いやすいマグネット教具
- ○電気回路には,図をコピーしたはり付け教具を (2年1分野 電流)
- ○イオンのモデルと電子 (3年1分野 水溶液とイオン)
- 5 派手に動いて印象付ける
- ○分子運動は全身を震わせて! (1年1分野 状態変化)
- ○寒気・暖気の動きを体で (2年2分野 気象)
- ○作用反作用はキャスター付きのいすに座って実演 (3年1分野 運動)
- 6 手を使って考えさせよう!
- ○フレミングの左手の法則はミトン型で (2年1分野 電流と磁界)
- ○右ねじの法則は右手で (2年1分野 電流と磁界)
- ○高気圧は手のひらに息をフーッと吹きかけて…(2年2分野 気象)
- ○高気圧・低気圧も右手で覚えさせよう! (2年2分野 気象)
- 7 式が分かれば単位が分かる,単位が分かれば式が分かる
- ○誘導(組立て)単位の意味を教える (1年1分野 圧力・密度)(3年1分野 速さ)
- ○圧力の公式を求めさせる
- 8 割合の計算は『風船割り』で! (1年1分野 水溶液…濃度)
- 9 たとえ話が生きる
- ○酸子(酸素)ちゃんとマグ男君で化学変化を (2年1分野 化学変化)
- ○還元も擬人化で (2年1分野 化学変化)
- ○細胞は日の丸弁当 (2年2分野 生物と細胞)
- ○地球は半熟卵にパチンコ玉 (1年2分野 大地の変化)
- 10 地域の自然を教材に!
- ○河原の石をmy標本に! (1年2分野 大地の変化)
- ○河岸段丘を調べる! (1年2分野 大地の変化)
- おわりに
はじめに
自分も生徒もワクワクするような活気のある授業を創りたい,「理科好きを増やすんだ」と,やる気に燃えて中学校の理科教員になったのに,
毎日雑務に忙殺されて,
教科書の内容を消化するのに精一杯,
楽しいはずの実験も準備不足でうまくいかず,
準備・片付け・ワークシートの点検に時間がかかってめんどうになり,
他の先生の授業からヒントを得たいと思っても参観する余裕もなく,
こんなはずではなかった…と,嘆いている先生はいませんか?
授業以外にも日々やらねばならない仕事が山積し,自分なりに精一杯努力しているにもかかわらず,『働けど働けどなお我が仕事(暮らし)うまくいかず(楽にならず),じっと手を見る』(石川啄木?)のように理想と現実の挾間でもがき苦しんではいませんか?
「実験・観察などの体験をたくさん取り入れる先生になろう!」意気揚々と中学校の理科教員になったとき,私は教えることの難しさに初めて気付きました。授業で指導することだけ分かっていても指導はできず,たとえ高度な知識があっても生徒はついて来ず,実験をやっても時間内によい結果を得ることができませんでした。自己嫌悪に陥りながら,「どうやったら目を輝かせて取り組んでくれるだろう」「どうやったら,学力差のある生徒たちみんなに理解させられるだろう」「どうやったら楽しくて思考を伸ばす授業が行えるのだろう」と,いつも「どうやったら…」が頭の中をかけめぐっていました。ヒントを求めて,理科教育の本をあたってもすぐに役立つものは少なく,立派な研究は目の前の生徒の現状とは合わず,複雑な装置は時間的余裕がなくてつくれず,簡単そうに見える実験でもやってみるとうまくいかず,日々もがきながら授業を行っていました。
それでも,「よい授業にしたい」「ひと味違う授業にしよう」との思いは強く,あれこれチャレンジして実験等のレパートリーを増やし,工夫しながら自分なりのスタイルで授業を創ってきました。
何年やっても満足のいく授業づくりは難しいものです。とはいえ,年の功でこれまでに積み上げてきた工夫がある程度蓄積したので参考にしていただければと思いまとめてみました。よそゆきの研究授業ではなく,普段着の授業を参観する機会は案外少ないものです。
この本は,公立中学校の一教員が,授業をどう組み立てていけば生徒は乗ってくるか,与えたい科学の基礎の定着が図られるか,有効な話は何か,どこにどの実験を入れたら分かりやすくなるか…等を考えながら試行錯誤を繰り返してきた授業の実践例です。
第1章では,授業創りに参考になることを
第2章では,簡単で生徒の食いつきのよい実験観察を
第3章では,理解を助ける指導法の工夫や教材・教具を 紹介しました。
笑ってしまうようなくだらないもの,完全オリジナルな(手前味噌的には)自信作,先輩方や同僚の先生方の実践を一部まねさせてもらったもの,生徒とのやりとりの中で苦し紛れにつくったもの(替え歌),説明を円滑に行うための道具,最近はあまり行われていないが以前は行われていた役立つ実験等々,いろいろありますが,いずれも,時間をかけずにすぐに使えそうなものを集めました。
拙い実践ですが,若い先生方が,この中から一つでもヒントを得て,ご自分なりに改善改良され,授業に生かしてくださることを期待しております。
感動をもって心に刻まれたものは忘れない!
ひと手間が,授業を楽しくし大きな効果をもたらす!
2010年11月 /坂井 悦子
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- 明治図書