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このコーナーは、教育書編集部企画者が担当して、最近気になった教育界の話題、仕事がらみの身辺雑記など、さまざまな側面からのコラムをお届けします。
第59回 「文化遺産」を大切にする心
年末の休暇を利用し、愛知県犬山市にある「博物館明治村」を訪れました。明治村は主に明治時代の建物等を移築・復元し、当時の歴史や文化を伝える日本屈指の野外博物館です。
開村当時は15件であった施設も現在は67件にのぼり、そのうち「呉服座」や「三重県尋常師範学校本館」など10件が国の重要文化財指定。屋内の家具や調度品、教科書なども当時のものを揃えて公開されており、“明治時代”を体感することができます。施設内の移動では、新橋―横濱間を実際に走行していた「蒸気機関車」(1台が1874年イギリス製)や日本初の路面電車である「京都市電」が動態展示されていて、実際に乗ることもできます。片道走行した後の蒸気機関車を客車から1度切り離して手動の転車台(ターンテーブル)で方向転換し、反対側に付け替えるといった動態展示ならではの作業も、間近で見ることができます。
一昨年改訂された指導要領社会科では、3・4年の身近な地域の事例で「古くから残る建造物」が追加され、6年の歴史教育で「世界文化遺産、国宝、重要文化財」などの代表的な文化遺産を取り上げることが強調されました。「今に残る文化遺産、文化財」については、“丈夫だったから”“運良くそのまま残っている”、という安易なイメージだけを持つ子どもも少なくありません。しかし実際には、そのままの形で残すために尽力した先人がいて、当時どのようになっていたかについて専門家による分析や類推、時代考証を経て「修復」や「維持」、「復元」の作業も行われています。このようにして守られてきた文化遺産に触れ、体感することで、歴史を身近に感じることができ、学ぶ意欲づけにも大きく作用するはずです。またその保存・維持の努力について知ることで、今ある文化や伝統を大切にする心も育まれるのではないでしょうか。
観光客減や社会情勢による財政問題、保存・修復技術者の後継者不足問題など、文化財保護を取り巻く環境は厳しくなっているとのことですが、その時代に生きた人々がかつて何を考え・学び、何を大切にしてきたのか。その営みによって育まれてきた現代社会に生きる者として、文化遺産・文化財を守る意識を大切にしたい、と改めて感じました。
及川 誠
この記事は、『明治図書ONLINE メールマガジン 2010年1月後期号』に掲載されました。
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